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- 家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年5月)-物価高でも、旅行・レジャー・デジタルなど楽しみへの消費は堅調
2025年07月18日
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■要旨
■目次
1――はじめに
~実質賃金は5カ月連続減少だが、消費は底堅く推移、2025年5月はコロナ禍前の水準へ
2――二人以上世帯の消費支出の概観~生活必需品を抑え、娯楽は維持
3――主な個別費目の状況
~物価高で使途(メリハリ消費)の工夫、利便性重視やデジタル娯楽は定着化
1|旅行・レジャー
~海外旅行を含むパック旅行費に回復の兆し、円安への慣れと順応
2|交通
~価格上昇でも公共交通機関より自由度の高いカーシェアが選好、バス・タクシーは供給不足も
3|アパレル・メイクアップ用品
~スーツ需要の弱まり、女性服・メイクアップ用品は比較的堅調
4|食事
~外食は回復基調が継続、物価高で高価格な食品は買い控えも利便性食品は堅調を維持
5|デジタル娯楽~物価高でも抑制対象ではない、デジタルコンテンツは生活に定着
4――おわりに~物価高でも楽しみへの消費は堅調、慎重さのなかにある変化の兆しに注目
- 2025年5月の個人消費は緩やかな改善傾向が続いており、コロナ禍前の水準と同程度にまで回復している。足元にかけて実質賃金は減少傾向にあるが、実質賃金がプラスに転じた昨年も消費は抑制的であった。こうした行動が土台となっていることで、個人消費は賃金と連動せずに底堅く推移していると考えられる。
- 総務省「消費動向指数」にて二人以上世帯の消費支出を見ると、世帯当たりの消費は単身世帯を含めた全体と比べて抑制傾向にある。内訳を見ると、食料や日用品などの生活必需的な消費を抑制しながら、旅行やレジャーなどの娯楽やそれに付随する消費は一定の支出を維持する傾向が続いている。
- なお、これまで海外旅行を含むパック旅行費は、円安による割高感などから低迷していたが、足元にかけて増加傾向を示している。これは、円安の進行が一旦落ち着いたことに加えて、消費者の間には円安は今後も続くものとの認識が広がることで需要が改善したものと考えられる。交通関連では、「レンタカー・カーシェアリング料金」が増加傾向にあり、自由度の高い移動手段を選好する傾向が続いている。
- 外食の伸び率は緩やかだが改善傾向を維持している。内食では米の買い込み需要は一服したが、価格上昇で支出額が昨年より2倍程度に増えた状況が続いている。電子書籍をはじめとしたデジタルコンテンツについては一定の支出が維持されており、生活の中で一定の価値を持つものとして定着している様子がうかがえる。
- 年末には実質賃金がプラスへ転じ、消費者の購買力は高まる見通しだ。一方で、すでに安価で高品質な商品やサービスは多く流通し、長年のデフレや近年の物価高で根づいた「節約を前提とした暮らし方」は、そう簡単には揺らがないだろう。それでも、購買力の回復が進むことで、特に余暇や娯楽などを中心に、消費全体が少しずつ前向きな方向に動き出すことが期待される。
■目次
1――はじめに
~実質賃金は5カ月連続減少だが、消費は底堅く推移、2025年5月はコロナ禍前の水準へ
2――二人以上世帯の消費支出の概観~生活必需品を抑え、娯楽は維持
3――主な個別費目の状況
~物価高で使途(メリハリ消費)の工夫、利便性重視やデジタル娯楽は定着化
1|旅行・レジャー
~海外旅行を含むパック旅行費に回復の兆し、円安への慣れと順応
2|交通
~価格上昇でも公共交通機関より自由度の高いカーシェアが選好、バス・タクシーは供給不足も
3|アパレル・メイクアップ用品
~スーツ需要の弱まり、女性服・メイクアップ用品は比較的堅調
4|食事
~外食は回復基調が継続、物価高で高価格な食品は買い控えも利便性食品は堅調を維持
5|デジタル娯楽~物価高でも抑制対象ではない、デジタルコンテンツは生活に定着
4――おわりに~物価高でも楽しみへの消費は堅調、慎重さのなかにある変化の兆しに注目
(2025年07月18日「基礎研レポート」)
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経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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