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2025年09月03日
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1.結果の概要:総合指数がやや上昇、コア指数は横ばい
9月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)は8月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.1%、市場予想1(2.1%)と一致、前月(2.0%)からやや上昇した(図表1)
・前月比は0.2%、予想(0.1%)より上振れ、前月(0.0%)から上昇した
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は2.3%、予想(2.2%)よりやや上振れ、前月(2.3%)と同じだった(図表2)
・前月比は0.3%、前月(▲0.2%)から上昇した
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:総合指数・コア指数の物価上昇の勢いも概ね2%前後
8月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.1%となり、7月(2.0%)からやや上昇したが、概ねECBの2%物価目標に沿った水準で推移している。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は2.3%と7月(2.3%)から横ばい推移となった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が6月0.5%→7月0.8→8月0.8%、「サービス」(エネルギーを除く)が6月3.3%→7月3.2%→8月3.1%となり、財インフレ、サービスインフレともに概ね横ばいでの推移が続いている。前年同月比寄与度は、「財」が0.18%ポイント程度、「サービス」が1.37%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で6月▲2.6%→7月▲2.4%→8月▲1.9%となり、マイナス幅が縮小した。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.22%ポイント程度(7月は▲0.23%ポイント)と見られる(前掲図表2)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が6月0.5%→7月0.8→8月0.8%、「サービス」(エネルギーを除く)が6月3.3%→7月3.2%→8月3.1%となり、財インフレ、サービスインフレともに概ね横ばいでの推移が続いている。前年同月比寄与度は、「財」が0.18%ポイント程度、「サービス」が1.37%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で6月▲2.6%→7月▲2.4%→8月▲1.9%となり、マイナス幅が縮小した。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.22%ポイント程度(7月は▲0.23%ポイント)と見られる(前掲図表2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で3.2%(7月3.3%)とやや低下(図表3)、内訳を見ると、飲食料のうち加工食品の伸び率は2.6%(7月2.7%)とやや低下、未加工食品は5.5%(7月5.4%)とやや上昇した。飲食料の前年同月比寄与度は0.68%ポイント程度(7月は0.63%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.0%(7月1.1%)、コアが2.4%(7月2.2%)、エネルギーを除く財が1.1%(7月0.7%)、サービスが3.1%(7月3.0%)、飲食料が3.5%(7月3.2%)となった。サービスインフレの物価上昇の勢いは3%台前半を維持し、総合指数やコアの物価上昇の勢いは概ね2%目標と同水準となっている。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.0%(7月1.1%)、コアが2.4%(7月2.2%)、エネルギーを除く財が1.1%(7月0.7%)、サービスが3.1%(7月3.0%)、飲食料が3.5%(7月3.2%)となった。サービスインフレの物価上昇の勢いは3%台前半を維持し、総合指数やコアの物価上昇の勢いは概ね2%目標と同水準となっている。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは15か国、残りの5か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%以下となったのは4か国、キプロスはマイナスとなった。なお、前月比では20か国中14か国がプラス、6か国がマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(2025年09月03日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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