コラム
2025年08月08日

投資部門別売買動向(25年7月)~海外投資家は買い越し、個人は売り越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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2025年7月の日経平均株価は、4カ月連続で上昇した。上旬は、日米関税交渉の不透明感や参議院議員選挙を控えた政治リスクが重荷となり、日経平均株価は6月末の水準をやや下回る3万9,000円台後半でのもみ合いが続いた。加えて、主要企業の4-6月期決算発表を前に投資家の様子見姿勢も強まった。中旬は、米ハイテク株高や円安進行が支えとなる一方、米欧の通商交渉の停滞などが上値を抑えた。下旬に入ると、日米が自動車を含む関税率を15%に引き下げることで合意したことが好感され、日経平均株価は23日に終値ベースで4万1,000円を超え、24日には一時4万2,000円台を回復(終値は4万1,826円)した。その後も堅調に推移し、月末は4万1,069円で終えた。投資部門別では、海外投資家と事業法人が買い越す一方、信託銀行と個人は売り越した(図表1)。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2025年7月(6月30日~8月1日)の投資部門別の売買動向をみると、海外投資家が現物と先物の合計で2兆3,880億円の買い越しと7月最大の買い越し部門であった。ただし、週単位では4月第3週から15週連続で買い越しが続いていたが、7月第5週(7月28日~8月1日)は売り越しに転じた(図表2)。前週には、日米が関税率を25%から15%に引き下げることで合意したことを好感して、日経平均株価は週間で1,637円上昇した。また、月末には日米の金融政策決定会合や米雇用統計の発表を控え、買い越しが続いていたなかで短期的な利益確定売りやリスク回避の動きが強まったと考えられる。
図表2 週次の買い越しは15週連続で一服
7月は事業法人も現物と先物の合計で1兆665億円の買い越しとなった。事業法人による自社株買いは継続的に行われており、50カ月連続の買い越しとなった(図表3)。
図表3 事業法人は50カ月連続買い越し
一方、信託銀行は現物と先物の合計で1兆6,127億円の売り越しと、7月最大の売り越し部門であった。週単位では7月第1週から第5週まで全て売り越した(図表4)。
図表4 信託銀行は最大の売り越し部門
また、7月は個人も現物と先物の合計で1兆2,576億円売り越した。特に7月第4週(7月22日~25日)は1兆1,687億円と大幅に売り越した(図表5)。同週は、日経平均株価が4万円台を回復し、一時4万2,000円台まで上昇する場面も見られたことから、個人投資家の利益確定売りが強まったと見られる。一方、7月第5週(7月28日~8月1日)には日経平均株価が下落に転じたことを受け、小幅ながら買い越しに転じるなど株価の下落局面で買いに動く「逆張り姿勢」がうかがえた。
図表5 個人は売り越し

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年08月08日「研究員の眼」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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