2024年10月23日

EUのAI規則(2/4)-高リスクAIシステム

保険研究部 取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

EUのAI規則(以下、本規則)は、2024年6月13日に本規則が正式にEUジャーナルに掲載され、同年8月1日に発効した。本稿は本規則解説シリーズの4回中の2回目である。
 
EU調和法(EU内で製品の安全基準などを標準化した規則等)に記載されている製品やその安全装置であるAIシステム、および本規則で列挙した人の権利・安全に影響を及ぼすAIシステムを高リスクAIシステムと呼び、特別な規制が適用される。
 
高リスクAIシステムが満たすべき要件として、(1)リスク管理システムの構築、(2)データガバナンス、(3)技術文書の作成および記録保存、(4)使用説明書の作成、(5)人的監視措置の導入、(6)正確性及び堅牢性が挙げられる。それぞれ具体的な措置が本規則では定められている。
 
そして、高リスクAIシステムの提供者、輸入業者・販売者、配備者の義務が規定されており、問題や事故が発生した場合にバリューチェーン上でどの事業者が責任を有するかが定められている。

■目次

1――はじめに
2――前回レポートの振り返り
3――高リスクAIシステムとは
  1|高リスクAIシステムとは(その1)
  2|高リスクAIシステムとは(その2)
4――高リスクAIシステムが満たすべき要件
  1|高リスクAIシステムが満たすべき要件(総論)
  2|高リスクAIシステムが満たすべき要件(その1:リスク管理システム)
  3|高リスクAIシステムが満たすべき要件(その2:データガバナンス)
  4|高リスクAIシステムが満たすべき要件(その3:技術文書・記録保存)
  5|高リスクAIシステムが満たすべき要件(その4:使用説明書)
  6|高リスクAIシステムが満たすべき要件(その5:人的監視措置)
  7|高リスクAIシステムが満たすべき要件(その6:正確性・堅牢性など)
5――高リスクAIシステム提供者の義務
  1|高リスクAIシステム提供者の義務(総論)
  2|高リスクAIシステム提供者の義務(各論)
6――高リスクAIシステム輸入業者・販売者・配備者の義務
  1|高リスクAIシステム輸入業者の義務
  2|高リスクAIシステム販売業者の義務
  3|高リスクAIシステムのバリューチェーンにおける責任
  4|高リスクAIシステムの配備者の義務
  5|高リスクAIシステムの基本的権利影響評価
7――小括

(2024年10月23日「基礎研レポート」)

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保険研究部   取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2025年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

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レポート紹介

【EUのAI規則(2/4)-高リスクAIシステム】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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