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近年の好調だった積立金運用は、公的年金の見通しにどう影響したか?~年金改革ウォッチ 2024年8月号
保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫
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1 ―― 先月の動き
○年金局 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会
7月1日(第8回) 議論のとりまとめ(案)
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240131_00014.html (資料)
7月3日(公表のみ) 議論のとりまとめ
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41109.html
○社会保障審議会 年金部会
7月3日(第16回) 令和6年財政検証の結果(報告)
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_2024070.html (資料)
7月30日(第17回) 次期年金制度改正の方向性、障害年金制度、遺族年金制度等
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240730.html (資料)
○社会保障審議会 資金運用部会
7月26日(第21回) GPIFの令和5年度業務実績評価、第4期中期目標期間業務実績見込評価、他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_shikinshiryo21.html (資料)
○社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
7月31日(第36回) DC制度の環境整備、「経済財政運営と改革の基本方針2024」、他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41816.html (資料)
2 ―― ポイント解説:将来見通しへの運用の影響
しかし、前述のように平滑化が実施されているとはいえ、運用収入は時価評価であるため変動しやすい。そこで、2023年度末の積立金を平滑化後の実績値から前回の見通しの2023年度末の値に置き換えて推計した結果が、図表3である*2。粗い試算のため、今回の見通しを再現した結果でも公式値との差が生じている点には留意が必要だが、今回の成長型経済ケースに前回のケースIIIの2023年度末の積立金を当てはめた試算では約3ポイント、今回の過去30年投影ケースに前回のケースVの2023年度末の積立金を当てはめた試算では約6ポイント、法定所得代替率が低下した。
*1 2024年度の法定所得代替率は、基礎年金部分が36.2%、厚生年金部分が25.0%、合計が61.2%である。
*2 運用収入を見るには、積立金の変化のうち運用収入による影響分のみを置き換えるのが本来の試算である。しかし、2023年度の財政見通しは厚生年金と国民年金の合計のみが公表されているため、本来の試算を行えなかった。
この試算からは、出発点の積立金の上昇が将来の法定所得代替率に与えた影響が、成長型経済ケースでは前回からの改善幅の約半分、過去30年投影ケースではその大部分、に相当する大きさだったと言える。将来の法定所得代替率が上昇した要因には厚生年金加入者の増加などもある点には留意が必要だが、出発点の積立金が上昇した影響を踏まえて、将来見通しを理解する必要があるだろう。
(2024年08月13日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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