- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産24年4月-4-6月期は増産が見込まれるが、不透明感は強い
2024年05月31日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.4月の生産は事前予想を大きく下回り、2ヵ月ぶりの低下

4月の生産を業種別に見ると、半導体製造装置を含む生産用機械は前月比4.1%の上昇となったが、工場の稼働再開を受けて増産が期待されていた自動車が前月比▲0.6%の低下となったほか、汎用・業務用機械(前月比▲3.2%)、電機・情報通信機械(同▲2.4%)などが大きく落ち込んだ。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は24年1-3月期の前期比▲2.0%の後、4月は前月比▲0.2%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は24年1-3月期の前期比▲6.2%の後、4月は前月比4.8%となった。
24年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲0.8%と2四半期ぶりに減少したが、高水準の企業収益を背景に基調としては持ち直しており、4-6月期には増加に転じる可能性が高い。
24年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲0.8%と2四半期ぶりに減少したが、高水準の企業収益を背景に基調としては持ち直しており、4-6月期には増加に転じる可能性が高い。
2.4-6月期は増産見込みだが、不透明感が強い
製造工業生産予測指数は、24年5月が前月比6.9%、6月が同▲5.6%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(4月)、予測修正率(5月)はそれぞれ▲2.6%、▲0.4%であった。
予測指数を業種別にみると、輸送機械は5月に前月比14.5%の大幅増産計画となっている(6月は同▲4.8%)が、4月実績は前月比▲1.1%と前月時点の計画(同6.1%)を大きく下回っており、5月も下振れリスクが高い。不正問題発覚の影響で、1月の国内生産が0台だったダイハツは、2月から生産を再開しているが、生産台数は2月が前年同月の8.3%、3月が同34.2%、4月が同31.0%にとどまっている。5月には国内の全工場での生産を再開しているが、フル稼働に戻るまでには時間を要しそうだ。
一方、電子部品・デバイスは5月が前月比5.8%、6月が同▲5.2%と一進一退の計画だが、足もとでの実績は生産計画から上振れしており、出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は改善傾向が続いている。在庫調整の進展を受けて、電子部品・デバイスの生産は堅調に推移することが見込まれる。
予測指数を業種別にみると、輸送機械は5月に前月比14.5%の大幅増産計画となっている(6月は同▲4.8%)が、4月実績は前月比▲1.1%と前月時点の計画(同6.1%)を大きく下回っており、5月も下振れリスクが高い。不正問題発覚の影響で、1月の国内生産が0台だったダイハツは、2月から生産を再開しているが、生産台数は2月が前年同月の8.3%、3月が同34.2%、4月が同31.0%にとどまっている。5月には国内の全工場での生産を再開しているが、フル稼働に戻るまでには時間を要しそうだ。
一方、電子部品・デバイスは5月が前月比5.8%、6月が同▲5.2%と一進一退の計画だが、足もとでの実績は生産計画から上振れしており、出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は改善傾向が続いている。在庫調整の進展を受けて、電子部品・デバイスの生産は堅調に推移することが見込まれる。
24年4月の生産指数を5、6月予測指数で先延ばしすると、24年4-6月期の生産は前期比5.3%となる。実際の生産の伸びが計画を下回る傾向があることを考慮する必要があるが、2四半期ぶりの増産は確保できそうだ。ただし、電子部品・デバイスの在庫調整の進展、半導体関連需要に支えられた生産用機械の増産など明るい材料がある一方で、自動車の挽回生産が想定よりも遅れていることもあり、1-3月期の落ち込み(前期比▲5.2%)を取り戻すには至らない可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年05月31日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/30 | 鉱工業生産25年5月-4-6月期は2四半期連続減産の可能性が高まる | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/27 | 雇用関連統計25年5月-新規求人倍率は3年6ヵ月ぶりの低水準も、労働市場全体の需給を反映せず | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/20 | 消費者物価(全国25年5月)-コアCPIは食料中心に上昇率拡大も、夏場には3%割れへ | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/18 | トランプ関税による企業収益への影響~輸出数量減少よりも輸出価格引き下げのほうが悪化幅は大きい~ | 斎藤 太郎 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年07月08日
今週のレポート・コラムまとめ【7/1-7/7発行分】 -
2025年07月07日
ベトナム経済:25年4-6月期の成長率は前年同期比7.96%増~駆け込み輸出により製造業が好調 -
2025年07月07日
トランプ関税前後の貿易状況 -
2025年07月07日
2025年上期のJリート市場は7.6%上昇。需給やファンダメンタルズの改善が上昇を後押し~売却益計上による還元強化の取組みが継続 -
2025年07月07日
「縮みながらも豊かに暮らす」社会への転換(1)-SDGs未来都市計画から読み解く「地方創生2.0」への打ち手
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【鉱工業生産24年4月-4-6月期は増産が見込まれるが、不透明感は強い】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産24年4月-4-6月期は増産が見込まれるが、不透明感は強いのレポート Topへ