2024年02月01日

日本の母子保健 低出生低体重児(2)-出生体重2,500g未満の低出生体重児は、男児よりも女児、単産よりも複産、母親の年齢45歳以上で高い割合-

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛

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■要旨

本稿では、低出生体重児の現状及び属性別の特徴を明らかにすることを目的に、厚生労働省の人口動態統計のデータを基に整理した。

その結果、男児よりも女児の方が出生体重が低く、低出生体重児が占める割合も女児の方が2.3%ptも高いこと、単産よりも複産の方が出生体重が低く、複産の出生のうち71.4%が低出生体重が占めていることが明らかとなったが、いずれも、性差による体格の差や多胎による胎盤領域の差による影響があるものと推察された。

しかし、母親の年齢別に占める低出生体重児の割合をみると、45歳以上の母親で18.0%と最も高く、先行研究でも35歳以上や40歳以上の初産婦において低出生体重児の割合が有意に高くなる傾向を示すことが明らかとなった。母体の年齢が高齢になるほど、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など妊娠合併症のリスクが高まり、胎児の体重が十分に増加しないうちに出生を迎える早産のリスクも高まることなどから、低出生体重児の割合に影響を与えることが推察された。

近年の晩婚化晩産化傾向をみると、今後も高齢妊娠・高齢出産が増加することが予想される。低出生体重のリスクを見越した母体管理の重要性がより一層重要視されるべきであろう。

■目次

1――はじめに
2――低出生体重児における属性別の特徴
  2-1|子どもの性別
  2-2|単産・複産
  2-3|母親の年齢別
3――まとめ

(2024年02月01日「基礎研レター」)

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生活研究部   研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任

乾 愛 (いぬい めぐみ)

研究・専門分野
母子保健・不妊治療・月経随伴症状・プレコンセプションケア等

経歴
  • 【職歴】
    2012年 東大阪市入庁(保健師)
    2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了(看護学修士)
    2019年 ニッセイ基礎研究所 入社

    ・大阪市立大学(現:大阪公立大学)研究員(2019年~)
    ・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)非常勤講師(2023年~)
    ・文京区子ども子育て会議委員(2024年~)

    【資格】
    看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者

    【加入団体等】
    日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会

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