2023年12月13日

中国企業のESGレポートをどう見るべき?~中国で検討されているESG関連情報開示項目の特徴~

社会研究部 研究員 胡 笳

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■要旨

欧米諸国や日本では、ESGへの取り組みは企業の評価や投資家の信頼を獲得するための重要な要素である。中国当局も、国際市場における競争力を向上し、国際的ビジネスを展開しやすくするため、ESGに関する取り組みを重要視している。そうした中で、中国は国際基準を参照しながら、中国の社会経済制度等を考慮し、独自でESG関連の開示基準を策定しようとする動きがある。本稿は、現在検討されている中国におけるESG関連情報開示項目の特徴について報告する。

現在存在するESGの情報開示に関する基準はいずれも先進国を中心とした基準であり、化石燃料や貧困削減などの議題において、中国のような発展途上国の実状にそぐわない指標や評価手法も含まれている。中国の実情に合わせて、特徴のある項目を示し関連する情報開示基準の策定を通じて、実施効果を向上させることができることが期待される。欧米とは異なる社会・経済・政治体制をとる中国では、ESG情報においても中国固有の内容があるが、全体としては欧米の評価基準に徐々に近づいており、将来的には欧米の機関投資家にとっても分かりやすい基準や体系が整備されていくものと考えられる。

■目次

はじめに
1――中国のESG関連情報開示の政策動向
  1|中国におけるESG関連情報開示の政策動向と背景
  2|中国におけるESG関連情報開示の基準の分類
2――中国で検討されているESG情報開示項目の特徴
  1|E:環境~化石燃料産業も評価
  2|S:社会~貧困削減・共同富裕に関する取り組みも評価
  3|G:ガバナンス~国有企業・中央企業では「党建能力」が重要
3――終わりに
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社会研究部   研究員

胡 笳 (こ か)

研究・専門分野
中国REIT、中国不動産全般

経歴
  • 【職歴】
     2018年 早稲田大学 アジア太平洋研究科 博士(学術)
     2018年 ニッセイ基礎研究所 入社
    【資格】
     環境プランナー、国際環境リーダー

    【加入団体等】
     日本NPO学会、Nonprofit Management & Leadership(米)

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