- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- ドル円は150円割れ、円安のピークは過ぎ去ったか?~マーケット・カルテ12月号
2023年11月20日
今月月初に1ドル151円台前半でスタートしたドル円は、米金融引き締め長期化が意識される場面で昨年高値(151円95銭)に肉薄したが、中旬にやや下落し、足元では150円を若干割り込んでいる。最近では、CPIをはじめ予想を下回る米経済指標が相次ぎ、利上げ打ち止め・早期利下げ開始観測の台頭を通じて米金利が急低下したことが主因だ。
足元では既に投機筋のポジションが大幅な円売りに偏っているうえ、151円台後半では円買い介入への警戒が強まることに鑑みると、今後の円安余地は限られている。しかし、インフレへの警戒が根強いFRBは未だ追加利上げに含みを残していることから、年内のドル円は高止まりが想定される。その後、来年年初頃に利上げ打ち止めが既成事実化してからは、市場の関心が「利下げ」へと集中することになるだろう。そうなれば、米金利が低下してドルが下落しやすくなる。ただし、FRBは早期の利下げ開始を否定し続けると見込まれることから、急速な円高進行は見込み難い。3カ月後の水準は146円前後と予想している。
1ユーロ159円台でスタートした今月のユーロ円は上昇し、足元では163円台にある。この間、ユーロに取り立てて強い材料が現れたわけではないものの、米金利低下とそれに伴うリスク選好的なユーロ買いがユーロの追い風となった。ドルとは異なり、円買い介入の対象になりにくいこともユーロ円の上昇をサポートした可能性がある。
欧州の景気は厳しい状況が続いているうえ、ECBは既に「高い政策金利を維持する期間」へと政策の重心を移していることから、今後は追加利上げを実施しないだろう。市場の目線はECBの利下げへと向かいやすくなることから、次第にユーロ安に向かうと見ている。3ヵ月後の水準は159円前後と見込んでいる。
10月末のYCC柔軟化を受けて、月初0.9%台半ばでスタートした長期金利は足元で0.7%台半ばに低下している。米金利低下の波及が主因だが、日本のGDPが予想を下回り、日銀の金融政策正常化観測がやや後退したことも一因になっている。今後も来春と目される日銀の正常化観測が金利の上昇圧力として燻り続ける一方、米金利の低下が一定の重石となると予想される。従って、3ヵ月後の水準は現状比でやや上昇の0.8%台と見込んでいる。
足元では既に投機筋のポジションが大幅な円売りに偏っているうえ、151円台後半では円買い介入への警戒が強まることに鑑みると、今後の円安余地は限られている。しかし、インフレへの警戒が根強いFRBは未だ追加利上げに含みを残していることから、年内のドル円は高止まりが想定される。その後、来年年初頃に利上げ打ち止めが既成事実化してからは、市場の関心が「利下げ」へと集中することになるだろう。そうなれば、米金利が低下してドルが下落しやすくなる。ただし、FRBは早期の利下げ開始を否定し続けると見込まれることから、急速な円高進行は見込み難い。3カ月後の水準は146円前後と予想している。
1ユーロ159円台でスタートした今月のユーロ円は上昇し、足元では163円台にある。この間、ユーロに取り立てて強い材料が現れたわけではないものの、米金利低下とそれに伴うリスク選好的なユーロ買いがユーロの追い風となった。ドルとは異なり、円買い介入の対象になりにくいこともユーロ円の上昇をサポートした可能性がある。
欧州の景気は厳しい状況が続いているうえ、ECBは既に「高い政策金利を維持する期間」へと政策の重心を移していることから、今後は追加利上げを実施しないだろう。市場の目線はECBの利下げへと向かいやすくなることから、次第にユーロ安に向かうと見ている。3ヵ月後の水準は159円前後と見込んでいる。
10月末のYCC柔軟化を受けて、月初0.9%台半ばでスタートした長期金利は足元で0.7%台半ばに低下している。米金利低下の波及が主因だが、日本のGDPが予想を下回り、日銀の金融政策正常化観測がやや後退したことも一因になっている。今後も来春と目される日銀の正常化観測が金利の上昇圧力として燻り続ける一方、米金利の低下が一定の重石となると予想される。従って、3ヵ月後の水準は現状比でやや上昇の0.8%台と見込んでいる。
(執筆時点:2023/11/20)
(2023年11月20日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/28 | 実質賃金の回復を急げ~持続的な生産性向上に向けた議論を | 上野 剛志 | 研究員の眼 |
2024/10/23 | 円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2024/10/11 | 貸出・マネタリー統計(24年9月)~金融政策正常化を受けてマネタリーベースが前年割れに、貸出の伸びは円高で抑制 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2024/10/07 | 不透明感を増す利上げの行方~日銀金融政策のポイントと見通し | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年11月01日
ユーロ圏消費者物価(24年10月)-総合指数は再び前年比2%まで上昇 -
2024年10月31日
首都圏新築マンション市場の動向(2024年9月)~マンション発売戸数は今後も低水準にとどまる見通し -
2024年10月31日
2024年7-9月期の実質GDP~前期比0.2%(年率0.8%)を予測~ -
2024年10月31日
なぜ「今」BeRealを撮影する必要があるのだろうか-BeRealに関する私論的考察 -
2024年10月31日
ユーロ圏GDP(2024年7-9月期)-前期比0.4%で成長は加速
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【ドル円は150円割れ、円安のピークは過ぎ去ったか?~マーケット・カルテ12月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ドル円は150円割れ、円安のピークは過ぎ去ったか?~マーケット・カルテ12月号のレポート Topへ