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育児中の国民年金保険料の免除に伴う保険料の引上げは?~年金改革ウォッチ 2023年7月号

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫
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1 ―― 先月までの動き
○社会保障審議会 企業年金・個人年金部会
6月12日(第23回) 関係団体からのヒアリング
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33545.html (資料)
6月28日(第24回) 関係団体からのヒアリング
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33862.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
6月26日(第68回) 日本年金機構の2022年度業務実績
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo68_00001.html (資料)
○社会保障審議会 年金部会
6月26日(第5回) 公的年金制度における次世代育成支援の取組、障害年金制度
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_230626.html (資料)
○社会保障審議会 年金財政における経済前提に関する専門委員会
6月30日(第4回) 有識者からのヒアリング、運用利回りの長期的な動向、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33599.html (資料)
2 ―― ポイント解説:公的年金制度における子育て支援充実の経緯・現状・展望

厚生年金では、育児休業法が1995年度から全事業所を対象に施行されることを踏まえて、1994年改正で育児休業中の加入者分の保険料免除が決定され、1995年度から開始された。その後も、免除対象の拡充などが進められた。
国民年金(第1号被保険者*1)での免除は、2004年改正時に話題になったが、自営業には産休等がないことなどを背景に検討が進まなかった。しかし、2012年改正法に検討規定が盛り込まれ、2016年改正で産前産後の免除が導入された。年金額は全額納付と同様に扱うことになり、通常の保険料免除を超えて給付に結びつく部分は、保険料の引上げでまかなうことになった。
*1 国民年金は日本に住む20~59歳の全員を対象としている。このうち、厚生年金加入者(国民年金の第2号被保険者)や厚生年金加入者に扶養される配偶者(国民年金の第3号被保険者)以外が国民年金の第1号被保険者であり、国民年金保険料を納める必要がある。

「こども未来戦略方針」では、「免除期間や給付水準等の具体的な制度設計の検討を早急に進め、2026年度までの実施を目指す」とされた。
免除期間は、厚生年金加入者では全員が育休の対象となれる「1歳到達まで」のほか、育休の延長と同様に「保育園の入所まで(最長で2歳到達まで)」とする案、父親に「産後パパ育休*2」相当の1か月分の免除を認める案などが考えられる。
給付水準は、保険料増に反対する意見が強ければ通常の全額免除と同じ「満額の1/2」も考えられるが、現行の産前産後と同様に「満額」とするのが濃厚だろう。「満額」とする場合、その財源を保険料の引上げでまかなうには、「1歳到達まで」で月200円程度、「保育園等の入所まで(最長で2歳到達まで)」では月500円程度の追加引上げが必要になると見込まれる。今後の議論を注視したい。
*2 出産後8週間以内に28日を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる。
(2023年07月11日「保険・年金フォーカス」)
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03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
中嶋 邦夫のレポート
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