2023年06月09日

年金額は2023年度に約2%の増額だが、実質的には▲0.6%の目減り-2023年度の年金額と2024年度以降の見通し(3)

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

■要旨

6月15日は、2023年度で最初の公的年金(4~5月分)の支給日である。本稿では、年金額改定のルールが2023年度分の改定でどのように機能したかを確認する。

■目次

1 ―― 本稿の問題意識:2023年度の年金額改定を解きほぐす
2 ―― 本来の改定率:2022年の物価上昇を反映。さらに2021年度の実質賃金上昇により、
   68歳以上の改定率が初めて67歳以下より低い値に
  1|概況:2022年の物価上昇を反映し、68歳以上の改定率が初めて67歳以下より低い値に
  2|詳細:2021年度の賃金上昇が、3年度平均の実質賃金上昇率を牽引
3 ―― 年金財政健全化のための調整ルール:調整率が繰越分を含めてすべて反映
  1|概況:本来の改定率が大幅なプラスとなったため、調整率が繰越分を含めてすべて反映
  2|詳細
   :加入者増加率は、2021年度はマイナスだが、2019年度のプラスにより、3年平均はゼロ%
4 ―― 総括:物価変動を早期に反映する仕組みと賃金や加入者の変動を平準化する仕組みが奏功。
   ただし、繰越しのツケを一度に精算する仕組みや68歳以降の改定ルールは再確認が必要
Xでシェアする Facebookでシェアする

このレポートの関連カテゴリ

保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴
  • 【職歴】
     1995年 日本生命保険相互会社入社
     2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
     2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
    (2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

    【社外委員等】
     ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
     ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
     ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
     ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

    【加入団体等】
     ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
     ・博士(経済学)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【年金額は2023年度に約2%の増額だが、実質的には▲0.6%の目減り-2023年度の年金額と2024年度以降の見通し(3)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

年金額は2023年度に約2%の増額だが、実質的には▲0.6%の目減り-2023年度の年金額と2024年度以降の見通し(3)のレポート Topへ