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年金額の少なさや、高齢者の健康保険料の引上げが投稿契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2023年4月)
保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫
1 ―― 本稿の問題意識と分析対象:年金ツイートは、何を契機に投稿されたか?
本稿では、「年金」を含むツイート(以下、年金ツイート)が何を契機に投稿されているかを考察するために、基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクを分析した。分析対象は、2023年4月に投稿された年金ツイートのうち単純なリツイート等を除いたものであり(図表1)、投稿者自身の何らかの態度が示されているツイートと言えよう。
2 ―― 投稿契機となったツイート:基礎年金額や厚生年金額の少なさが多くの人の投稿契機に
最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、基礎年金の満額の少なさを訴える4月27日に投稿されたツイートだった。このツイートでは、国民年金に上限である40年加入した場合に受け取れる基礎年金の満額が月額約6万円で、40年も真面目に払って老後が生きて行けない制度はどこかが間違っていると述べている。なお、同じツイートは4月29日にも多くの年金ツイートの投稿契機となり、同じユーザーによる4月2日のツイートは4月3日に一定程度の投稿者の投稿契機となった。
2番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、ツイートと同じ文言の5ちゃんねる掲示板のスレッドを転載したWebページへのリンクであった。このスレッドは、4月17日に掲載された幻冬舎オンラインの同題名の記事に関するもので、同記事は高齢者夫婦世帯の収入(月額22万円)や支出の内訳を紹介していた。
3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、基礎年金の満額や標準的な厚生年金額の少なさを訴える4月28日に投稿されたツイートだった。このツイートでは、基礎年金の満額(月額6.6万円)に加え、平均的な給与の単身男性が受け取れる年金額(月額15万円)を示してい3。
なお、以前の分析では投稿の契機となったツイートの上位10件の大半が他のツイートやWebページへのリンクを含んでいたのに対し、今月は上位10件のうち3件のみだった点も、特徴であった。
1 あるツイートの返信ツイートや引用リツイートとして投稿された年金ツイートのほか、他のツイートのURLをツイート中のURL1つめとしている年金ツイート(※)も、ツイートを契機として投稿された年金ツイートとみなしている(2022年9~12月投稿分の分析では、※のタイプの年金ツイートをWebページを参照しているツイートとして集計していた)。なお、ツイートを契機として投稿された年金ツイート64,302件のうち、返信ツイートは51,543件、引用リツイートは12,284件、※のタイプの年金ツイートは475件であった。
2 平均+1~2以上の標準偏差を「多い」の目安にしている。以下同じ。
3 政府が示す例では、この金額(月額15万円)ではなく、この金額にもう1人分の基礎年金満額を加えた夫婦の合計額(月額22万円)が使われることが多い。このツイートの投稿者は、公的年金の仕組みを一定程度以上理解し、単身分を自身で計算したと思われる。
3 ―― 投稿契機となったWebページ:健康保険の改正案や海外年金基金の議決権方針が投稿契機に
最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、4月13日に掲載された、健康保険法の改正案が衆議院で可決されたことを伝えるYahoo!ニュースの記事で、時事通信からの転載であった。同記事は5、法改正により、年金収入が年153万円を超えていると75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の保険料が現行制度よりも高くなることなどを紹介していた。
2番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、4月19日に掲載された、ノルウェー政府の年金基金が今年の株主総会から女性取締役がいない日本企業の取締役会議長などの選任に反対することを紹介した、日本経済新聞の記事だった。同記事は、4月20日にも多めの投稿者の投稿契機となっていた。
3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、4月1日に掲載された、新年度からの社会保障制度の変更点を紹介したNHKの記事だった。年金については、支給額が3年ぶりに引き上げられることを取り上げ、基礎年金の満額が約6.6万円、厚生年金がモデル世帯で約22万円となることや、引き上げられるものの伸び率は物価や賃金の上昇率よりも低く、実質的には目減りすることを伝えていた。
また、4月11~12日には、4月11日に掲載された、日本の高齢者を扱った海外メディアの記事を紹介するYahoo!ニュースの記事や、その転載元であるプレジデント・オンラインの記事が、多めの投稿者の投稿契機となっていた。同記事では、契約社員などとして各社を転々としてきた73歳の男性の年金が月6万円で、現在は東京の青果卸売会社で重い積み荷を運ぶ業務を行っていることを、今年1月のニューヨーク・タイムズの記事が取り上げたことなどを紹介していた。
4 ツイート中にURLを含む年金ツイートのうち、前述したツイートを契機として投稿された年金ツイート以外のもの。
5 Yahoo!ニュースに転載された記事は本稿執筆時点で読めなくなっていたが、同題名の転載元の記事を確認した。
03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
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