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- ビッグマックから「安いニッポン」を考える
日本は1990年代後半以降、長らく低い物価上昇に直面してきた。1990年代後半以降、日本の消費者物価指数は概ね横ばいで推移してきた。これは、平均2%程度で上昇してきた米国やユーロ圏などと大きく異なる。2021年以降、世界は物価上昇に見舞われ、日本でも2023年1月には消費者物価上昇率は前年同月比で4%を超えた。しかし、他国に比べれば日本の物価上昇率は大きくない。低物価上昇率が継続したことで、物価は変わらないという強い予想が生まれ、物価の粘着性が高まった。また、日本のビッグマック価格も海外に比べて上がっていない。
しかし、「安いニッポン」が、生産性が低く、競争力を失っているために、生産者が価格を引き上げられず、賃金も上がらない中で生じたものであれば、物価の安さは望ましいとはいえない。ビッグマックの生産コストを考えると、牛肉やレタス、小麦などの海外と貿易される財(貿易財)に加え、店舗の家賃や人件費といった海外と貿易されない財(非貿易財)が含まれる。過去の研究によれば、ビッグマックの内外価格差の約6割は、海外と貿易されない財(非貿易財)の価格で説明されるとする分析もあり、日本でビッグマックが安く買えるのは、賃金が低いからかもしれない。
山下 大輔
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(2023年05月10日「基礎研マンスリー」)
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