2023年02月22日

国会議員の年金保険料未納疑惑や受給開始年齢が年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2023年1月)

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫

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1 ―― 本稿の問題意識と分析対象:年金ツイートは、何を契機に投稿されたか?

ツイートとは、Twitterに投稿されるメッセージ(発言)である。文字数が、基本的に全角で140文字(半角で280文字)までと制限されており、「つぶやき」とも呼ばれる。近年はマスコミの報道や国会審議などでも取り上げられているが、ツイートには、熟考の上で投稿されたもの、反射的に投稿されたもの、宣伝や広報、プログラムによって投稿されたものなど、様々なものが混在している。

本稿では、「年金」を含むツイート(以下、年金ツイート)が何を契機に投稿されているかを考察するために、基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクを分析した。分析対象は、2023年1月に投稿された年金ツイートのうち単純なリツイート等を除いたものであり(図表1)、投稿者自身の何らかの態度が示されているツイートと言えよう。
図表1 本稿が分析対象としたツイート
以下では、投稿状況の指標として、投稿数(ツイート数)と投稿者数を確認する。投稿数は、前述のとおり単純なリツイート等を含んでいない点に注意が必要である。投稿者数は、ユーザー名を集計区分ごとに名寄せした件数であり、同一の集計区分で同一のユーザーが複数のツイートを投稿していても1名と数えている。以下では、同一ユーザーからのプログラムなどを使った複数回投稿の影響を抑えるため、投稿者数を主な指標として見ていく。

2 ―― 投稿契機となったツイート

2 ―― 投稿契機となったツイート:5ちゃんねる掲示板やテレビの街頭インタビューが投稿契機に

図表2は、ツイートを契機として投稿された年金ツイートの、投稿日別の投稿者数の推移である。既存のツイートに対するコメントの投稿(返信ツイートや引用リツイートなど)が、この集計の対象である1。図表2を見ると、1月20日(金)が最多で、18日と19日でも多くなっている2

図表3は、年金ツイートの投稿契機となったツイートのうち、そのツイートを契機とした年金ツイートの投稿日別の投稿者数が上位10件に入ったものである。

最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、5ちゃんねる掲示板の年金の受給開始年齢に関するスレッドを紹介するツイートだった。このスレッドのタイトルには受給開始年齢が含まれているが、このスレッドの1つめの書き込みは70歳までの就業機会に関するNHKの記事を引用したもので、このNHKの記事には年金の受給開始年齢に関する記載はなかった。

2番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、最も多くの投稿者の投稿契機となったツイートを紹介するツイートであった。
図表2 ツイートを契機として投稿された年金ツイートの投稿者数
3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、テレビ番組の街頭インタビューで、月額40万円の年金を受給している夫婦が足りないと答えたことを紹介するツイートだった。4番目に多くの投稿者の投稿契機となったツイートも、同じ内容を紹介したものだった。

また、18~19日と23~24日は、国会議員の年金保険料未納疑惑に関する報道を紹介するツイートが多くの投稿者の投稿契機となっていた3
図表3 年金ツイートの投稿契機となったツイート (年金ツイートの投稿日別の投稿者数の上位10件)
 
1 あるツイートの返信ツイートや引用リツイートとして投稿された年金ツイートのほか、他のツイートのURLをツイート中のURL1つめとしている年金ツイート(※)も、ツイートを契機として投稿された年金ツイートとみなしている(2022年9~12月投稿分の分析では、※のタイプの年金ツイートをWebページを参照しているツイートとして集計していた)。なお、ツイートを契機として投稿された年金ツイート63,526件のうち、返信ツイートは51,216件、引用リツイートは11,924件、※のタイプの年金ツイートは386件であった)。
2 平均+1~2以上の標準偏差を「多い」の目安にしている。以下同じ。
3 図表2では1月20日が最多だったが、図表3には1月20日が含まれていない。この原因として、1月20日の投稿の契機となったツイートのうち、国会議員の年金保険料未納疑惑に関するものが前日や前々日よりも分散していたことや、同日に話題となったフランスでの年金ストライキに関するものも分散していたことが、挙げられる。

3 ―― 投稿契機となったWebページ

3 ―― 投稿契機となったWebページ:国会議員の保険料未納疑惑や海外の年金ストやデモが契機に

図表4は、Webページを契機として投稿された年金ツイート4の、投稿日別の投稿者数の推移である。ニュースサイト等に掲載された記事を見て、記事の脇のアイコンから投稿した場合などが想定される。図表4を見ると、1月20日(金)が最多で、18日と19日と23日も多くなっている。

図表5は、年金ツイートの投稿契機となったWebページのうち、そのWebページを契機とした年金ツイートの投稿日別の投稿者数が上位10件に入ったものである。

最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、国会議員の年金保険料未納疑惑に関するYahoo!ニュースの記事で、文春オンラインからの転載であった。2番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは同記事をピックアップしたページで、3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは1番目に多くの投稿者の投稿契機となった記事と同一であった。また、転載元である文春オンラインの記事も、多くの投稿者の投稿契機となった。

この話題以外では、1月20日(金)に、フランスで行われた年金制度改正に反対するストライキやデモに関する記事と、2023年度の年金額に関する記事が、多くの投稿者の投稿契機となっていた。図表4で1月20日(金)が最多となったのは、このように同じ日に3つの話題が投稿契機になったためだと考えられる。
図表4 Webページを契機として投稿された年金ツイートの投稿者数
図表5 年金ツイートの投稿契機となったWebページ (投稿日別の投稿者数の上位10件)
 
4 ツイート中にURLを含む年金ツイートのうち、前述したツイートを契機として投稿された年金ツイート以外のもの。
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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴
  • 【職歴】
     1995年 日本生命保険相互会社入社
     2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
     2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
    (2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

    【社外委員等】
     ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
     ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
     ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
     ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

    【加入団体等】
     ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
     ・博士(経済学)

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