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- 観光業の回復で景気腰折れ懸念を払拭できるか
2022年11月04日
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東南アジアの景気回復基調が保たれるかどうかは観光産業がカギを握る。東南アジア5カ国の国際観光収入(GDP比、2019年)はタイが11.8%、マレーシアが6.1%、ベトナムが3.6%、フィリピンが3.0%、インドネシアが1.6%と国毎に差があるが、いずれも日本の1.0%を上回っており、インバウンド需要の各国経済への影響は大きいと言える。したがって、東南アジアの主要産業である観光業が回復すると、国内の雇用環境が幅広く改善して家計所得が増加、つまり個人消費にはプラスに働くため、足元の物価高と金利高による経済の下押し圧力を相殺する期待がある。
観光産業はコロナ禍で国際的な人の往来が大幅に制限されて低迷していたが、現在は復調に向かっている。今年初めは東南アジアにおいてもオミクロン株の感染が拡大したため、各国政府は入国規制を強化したが、オミクロン株の感染者の大半が軽症・無症状であることが分かると、2月~4月にかけてワクチン接種を条件に隔離なしでの入国が認められるようになった。その後も各国政府は外国人観光客の受け入れ再開による経済の早期回復を目指して入国時のPCR検査や陰性証明書の提示、医療保険の加入などを不要にしたり、短期滞在者向けのビザ発行を再開するなどコロナ禍で強化された入国規制はほぼ撤廃されている。また屋外のマスク着用義務が撤廃(タイとベトナムでは屋内も撤廃)されたほか、タイでは6月からバンコクでバーやパブなどの営業が条件付きで解禁されるなど活動制限措置が更に緩和されており、各国で観光業回復への布石が打たれている。

(2022年11月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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