2022年10月05日

企業型DC運営を再点検したい

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DC制度は公的年金を補完する目的が強く意識された年金制度である。中途引き出しが原則禁止となっているのはこのためで、積み立てられた資産は退職後の所得として活用されるように設計されている。DC制度のこうした特性を運用面で捉えると、長期的なリスク投資が可能な制度と位置付けられることになる。
 
しかし、資産配分を年代別に比べると、30~40歳代に比べ、より長期にわたる投資が可能な20歳代以下の方が保守的な資産配分となっており、元本確保型商品の割合が高く、内外株式の割合は低い。投資教育に改善の余地がないか今一度確認が必要な状況だ。
 
運用指図しない加入者の資産形成をサポートする指定運用方法にも課題はある。指定運用方法を導入する企業の割合は4割にとどまり、指定運用方法として選定される運用商品の大半を元本確保型商品が占める。サポート機能として十分か検討が求められる。
 
10月から、企業型DC加入者のイデコ加入の要件が緩和された。DC制度を活用した資産形成の可能性が広がったことで、企業型DC加入者のDC制度に対する関心が高まる可能性がある。この機会を捉えて、長期的な視点に立ったリスク投資に対する理解が深まるように、企業型DC運営の在り方を再点検したい。
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(2022年10月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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