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夏は年々暑くなっているのか?~高まる熱中症のリスクを踏まえた夏の過ごし方の見直しの必要性
山下 大輔
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1――はじめに
2――年々暑くなる日本の夏
まず、気温データを確認しよう。日本全体でみると、気象庁が公表している夏(6月から8月)の平均気温偏差1は、年による変動は大きいものの、均してみれば、上昇している。1898年以降の各年の平均気温の推移を線形近似すると、100年で1.16度上昇するトレンドがある。平均値を上回るトレンドがあることは、以前よりも気温が上昇していることを意味する。なお、ここでの日本の平均気温偏差は、都市化による影響が小さく、特定の地域に偏らないように選定された15地点から算出されている2。観測地点により気温が大きく異なることから、同一地点における月平均気温と基準値との差(偏差)の推移をみて、長期的な変化傾向をみるものだ。また、都市では都市化により、気温の上昇程度が上述の15地点平均に比べて大きい傾向にある。東京の夏の気温変化は100年あたりで2.1℃、大阪については2.0℃となっている。
このように夏の平均気温は長期的に上昇傾向にある。しかし、100年あたりで2℃程度の上昇であり、これが厳しい暑さを感じさせる要因とは言い難いかもしれない。では、次に気温が高い日の日数を確認しよう。1日の最高気温が30℃以上の日は真夏日、35℃以上の日は猛暑日と呼ばれる。東京と大阪の2021年までの真夏日、猛暑日、熱帯夜の年間日数の推移を以下のグラフで示した。まず、真夏日の年間日数は、年による変動は大きいものの、緩やかに増加している。また、猛暑日の年間日数は1990年代以降で顕著に多くなっている。また、熱帯夜(本来、熱帯夜とは、夜間の最低気温が25℃以上のことを指すが、ここでは日最低気温25℃以上の日数を熱帯夜日数としている)の年間の日数も明確な増加傾向にある。このように気温が非常に高くなる日が増加し、また、気温が下がりにくい日も増加する傾向にある。
1 各年の平均気温と1990年から2020年の30年平均値(基準値)との差
2 15地点は、網走,根室,寿都(すっつ),山形,石巻,伏木(高岡市),飯田,銚子,境,浜田,彦根,宮崎,多度津,名瀬,石垣島。平均気温偏差の算出方法は気象庁ウェブサイト(https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/clc_jpn.html)参照。
3 空気中の同じ水蒸気量であっても気温により変化する相対湿度は、蒸し暑さを捉えきれていない可能性がある。
3――高まる熱中症のリスク
(2022年09月13日「基礎研レター」)
山下 大輔
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