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- 日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント下落の12と予想、注目は仕入・販売価格の上昇度
2022年06月17日
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■要旨
- 6月短観では、原材料価格の高騰に加え、部品不足など供給制約の長期化や中国での都市封鎖に伴う外需の低迷も重石となり、大企業製造業の景況感が弱含むと予想。一方、非製造業については、製造業同様、原材料価格の高騰が重荷となったものの、対面サービス業を中心に、オミクロン株の感染縮小とまん延防止等重点措置の全面解除に伴う人流の回復が追い風となり、景況感が回復したと見ている。
- 先行きの景況感は総じて小幅な改善を予想。製造業では供給制約の緩和と中国の経済活動再開への期待、非製造業では旅行喚起策や水際対策緩和などに伴う人流のさらなる回復への期待がそれぞれ景況感の追い風になる。ただし、ウクライナ情勢や世界的なインフレ、中国の都市封鎖再導入の可能性など海外経済を巡る不透明感は強いほか、原材料価格の上昇・高止まりに対する懸念も根強いとみられることから、大幅な改善は見込みづらい。
- 2022年度の設備投資計画(全規模全産業)は、2021年度実績比で6.3%増と予想。例年6月調査では計画の具体化や(比較対象である)前年度実績が下方修正されることに伴って前年比の伸び率が上方修正される傾向が極めて強い。今回は2021年度実績の下方修正がやや大きめになるうえ、収益の改善や経済活動再開への期待もあって、伸び率の上方修正幅は例年を上回り、伸び率の水準としても比較的高めになると見ている。
- 今回の短観で特に注目されるのは、前回に続き、仕入・販売価格判断DIの動きだ。資源高や円安によってコストプッシュ型の物価上昇が加速しており、企業や家計の懸念が高まっているためだ。今回、仕入価格がどの程度上昇し、企業の採算がどれだけ圧迫されているか、今後はどの程度仕入価格の上昇が見込まれており、販売価格に転嫁される見通しなのかが示される。企業業績や物価、日本経済の行方を占ううえで重要な手がかりになる。
(2022年06月17日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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