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- 2022年改正特定商取引法の施行-ダークパターン等への対応
2022年04月01日
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■要旨
特定商取引法が2021年第204回通常国会で改正された。いくつもの改正がなされているが、ポイントとしては(1)ダークパターンへの対応、(2)送り付け商法の商品をただちに処分を可能にしたこと、(3)販売を伴う預託等取引の原則禁止である。
(1)ダークパターンとは、お試し無料などと広告して申し込ませるが、無料なのは初回だけで、次回以降の取引も同時に申し込んだこととされ、次回以降は正規の値段を徴収するものである。この次回以降分への申込みが消費者にはわかりにくく、かつ解約しようにも解約方法が電話に限定されており、その電話はずっと会話中であってつながらないような不適正な販売手法である。
このことに対して、顧客が申し込みを行う際に、申込数量や対価、支払方法等を表示するとともに解約方法を示す必要がある。ここで示されている解約方法によっては実際に解約ができないような状況になっているような場合は不実告知として行政処分の対象となりうる。
(2)送り付け商法とは、なんらの事前のやりとりもないのに、商品を一方的に送り付け、代金を支払うか、返送するように求める販売手法である。現行法では、14日間待たないと処分ができなかったが、このような販売手法は不当であることから、送付されてきた商品は直ちに処分できることとされた。
(3)販売を伴う預託等取引は、和牛を顧客に販売するとともに同時に預託を受け飼育を引き受けるような販売手法である。このような販売手法のうちで販売を伴うものは、販売代金を既存顧客の配当金に充当することが一般に行われていて、正当な事業形態としては認められないと判断され、今回禁止されることとなった。
以上のうち、(2)はすでに施行済(2021年7月6日)であるが、そのほかは2022年6月1日となっている(なお、一部規定ついては2023年施行予定となっている)。
■目次
1――はじめに
2――特商法の概要
1|法の適用対象
2|特商法の規定内容
3|その他の特商法の規定
3――改正特商法の概要
1|総論
2|通信販売における詐欺的行為の抑止
3|送り付け商法の返品請求不可
4|交付書面の電磁的提供
5|クーリングオフ通知の電磁的提供
6|業務停止・業務禁止範囲の拡充
7|外国執行当局との情報交換
4――その他の法改正
1|総論
2|販売を伴う預託等取引の原則禁止
3|適格消費者団体への情報提供
5――検討
6――おわりに
特定商取引法が2021年第204回通常国会で改正された。いくつもの改正がなされているが、ポイントとしては(1)ダークパターンへの対応、(2)送り付け商法の商品をただちに処分を可能にしたこと、(3)販売を伴う預託等取引の原則禁止である。
(1)ダークパターンとは、お試し無料などと広告して申し込ませるが、無料なのは初回だけで、次回以降の取引も同時に申し込んだこととされ、次回以降は正規の値段を徴収するものである。この次回以降分への申込みが消費者にはわかりにくく、かつ解約しようにも解約方法が電話に限定されており、その電話はずっと会話中であってつながらないような不適正な販売手法である。
このことに対して、顧客が申し込みを行う際に、申込数量や対価、支払方法等を表示するとともに解約方法を示す必要がある。ここで示されている解約方法によっては実際に解約ができないような状況になっているような場合は不実告知として行政処分の対象となりうる。
(2)送り付け商法とは、なんらの事前のやりとりもないのに、商品を一方的に送り付け、代金を支払うか、返送するように求める販売手法である。現行法では、14日間待たないと処分ができなかったが、このような販売手法は不当であることから、送付されてきた商品は直ちに処分できることとされた。
(3)販売を伴う預託等取引は、和牛を顧客に販売するとともに同時に預託を受け飼育を引き受けるような販売手法である。このような販売手法のうちで販売を伴うものは、販売代金を既存顧客の配当金に充当することが一般に行われていて、正当な事業形態としては認められないと判断され、今回禁止されることとなった。
以上のうち、(2)はすでに施行済(2021年7月6日)であるが、そのほかは2022年6月1日となっている(なお、一部規定ついては2023年施行予定となっている)。
■目次
1――はじめに
2――特商法の概要
1|法の適用対象
2|特商法の規定内容
3|その他の特商法の規定
3――改正特商法の概要
1|総論
2|通信販売における詐欺的行為の抑止
3|送り付け商法の返品請求不可
4|交付書面の電磁的提供
5|クーリングオフ通知の電磁的提供
6|業務停止・業務禁止範囲の拡充
7|外国執行当局との情報交換
4――その他の法改正
1|総論
2|販売を伴う預託等取引の原則禁止
3|適格消費者団体への情報提供
5――検討
6――おわりに
(2022年04月01日「基礎研レポート」)

03-3512-1866
経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
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