- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国も建国100周年を迎える頃には現役2人で高齢者を支える社会に!
中国も建国100周年を迎える頃には現役2人で高齢者を支える社会に!

三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1――人口増加が止まった中国
![[図表-1]中国の人口](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/70521_ext_15_1.jpg?v=1647303182)
2――少子高齢化が進展し現役世代人口が減少
他方、中国では高齢化も進んでいる。全人口に占める高齢者(65歳以上)比率を見ると、改革開放直後(1982年末)には4.9%を占めるに過ぎなかったが、1990年末には5.6%、2000年末には7.0%(高齢化社会)、2010年末には8.9%と、平均寿命が延びたことなどを背景にじわじわと上昇し、2021年末には14.2%(高齢社会)に達し、ついに2億人を超えることとなった。
そして、現役世代となる生産年齢人口(15~64歳)は2013年の10億1041万人をピークに減少し始め、2020年には9億6871万人となり、全人口に占める比率は68.6%まで低下した[図表-2]。しかも、生産年齢人口の減少傾向は今後も続きそうである。中国の人口ピラミッドを見ると[図表-3]、新たに生産年齢に達する若年層(0~14歳)の人口よりも、新たに生産年齢を卒業する中年層(50~64歳)の人口の方が多いからである。
3――建国100周年を迎える頃には現役2人で高齢者を支える社会に!
そこで中国政府は、社会全体で積極的に高齢化に対応する枠組みを作ることを目指して、「第14次5ヵ年計画期(2021~25年)における国家高齢者事業発展・高齢者介護サービス体系計画」を打ち出した[図表-5]。そこでは、老人ホームなど高齢者施設のベッド数を900万床以上にするなどの箱モノ整備に加えて、ソーシャルワーカーを2025年までに高齢者1000人当たり1人以上にするなどのサービス充実を、数値目標を掲げて取り組むこととしている。さらに「シルバー経済の発展に全力を挙げる」とした第7章では、高齢者の生活改善に資する健康機器や家事ロボットなどの研究開発を促進することやシルバー産業に特化した産業園区を国内に10ヵ所ほど設置する計画であることを表明するなど、産業政策に関する方針もセットとなっている。
高齢化に関しては中国より30年先輩の日本では、高齢者施設などの箱モノや介護ロボットなどの研究開発が進んでいるのに加えて、ソーシャルワーカーの育成だけでなく高齢者向けの健康・娯楽などのサービスもすでに充実してきているので、日本で成功したモノ、サービス、ビジネスモデルは中国でも役立つ可能性が高い。高齢者向けビジネスは、その国の社会保障制度を踏まえる必要があり、社会文化風土の違いもあるので一筋縄ではいかないものの、中国政府が重点をおく分野には補助金・税制優遇などの施策やサポートを得られることが多いだけに、日本企業にとってチャンスと言えるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年03月15日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国も建国100周年を迎える頃には現役2人で高齢者を支える社会に!】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国も建国100周年を迎える頃には現役2人で高齢者を支える社会に!のレポート Topへ