2022年01月11日

ESGに関する国際的な枠組み(イニシアチブ)を学ぼう

基礎研REPORT(冊子版)1月号[vol.298]

金融研究部 准主任研究員・ESG推進室兼任   原田 哲志

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1―ESGに関する国際的なイニシアチブの策定が進む

気候変動や人権問題への関心の高まりを背景にESG投資の拡大が続いている。こうした中、社会課題への取組みを推進するために、様々な国際的なESGに関する枠組み(イニシアチブ)とその運営組織が設立されている。こうしたESGに関するイニシアチブに賛同する企業や投資家は年々増加しており、その影響力は増している。

2―代表的なESGに関するイニシアチブ

ESGに関するイニシアチブは社会課題への取り組みの方針、企業などの情報開示の枠組み、投資や金融に関する枠組みに大きく分けられる[図表1]。
[図表1]ESGに関する主な国際イニシアチブと関連組織
社会課題への取組みの方針に関する代表的なイニシアチブとしては国連グローバルコンパクト(United Nations Global Compact:UNGC)が挙げられる。国連グローバルコンパクトは1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱した企業などがリーダーシップを発揮し、持続可能な社会を実現するためのイニシアチブである。

また、社会課題への取組みの方針は「気候変動に関する国際連合枠組条約(Uni ted Nat ions F ramework Convention on Climate Change:UNFCCC)」などの国際条約でも取決めがされている。

情報開示については「GRIスタンダード(Global Reporting Initiative:GRI)」、「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)」といったイニシアチブが挙げられる。

また、2021年11月、国際会計基準(International Financial Reporting Standards:IFRS)の策定を担うIFRS財団は国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standard Board:ISSB)の設立を発表した。同時に、2022年6月を目処に、これまでESGに関する開示基準の策定を行ってきた気候変動開示基準委員会(Climate Disclosure Standards Board:CDSB)と価値報告財団(Value Reporting Foundation: VRF)をISSBに統合すると発表している。

ESGに関する開示は、開示基準を策定するイニシアチブが多数存在することによって企業の情報開示に関する負担の増加が指摘されており、開示基準の収れんが求められている。こうしたことから、イニシアチブの統合と連携による開示基準の収れんが進められている。

3―責任投資原則(PRI)

投資や金融に関連する代表的なイニシアチブとしては、多くの機関投資家が署名しており特に重要な存在である「責任投資原則(Principles for Responsible Investment:PRI)」がある[図表2]。PRIは2006年にコフィー・アナンが提唱したESG投資に関する原則であり、ESGに配慮した投資を実際に行うための6つの原則から成り立っている。

PRIは、これらの原則のもと署名機関によるESG投資の実績を積み重ねることでESG投資の実例や知見を蓄積し、ESG投資のさらなる普及拡大を図っている。そのために、PRI事務局は署名機関にESG投資の研修プログラムや情報共有など様々な支援を行っている。
[図表2]PRIの署名者数と運用資産残高の推移
気候変動をはじめとした国際的な社会課題に個々の投資家が独力で対処するのは難しい。しかし、PRIをはじめとしたイニシアチブのもとで各国の投資家が連携していくことが、国際的な社会課題への取組みを進める原動力となっている。

国際的なイニシアチブへの参加にはハードルがあるものの、ESGに関する課題や情報の共有やルール策定への関与といった多くのメリットが期待できる。

ESGに関するイニシアチブの影響力が国際的に強まる中、日本の企業や投資家も国際的なイニシアチブの策定に積極的に関与していくことが必要である。
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金融研究部   准主任研究員・ESG推進室兼任

原田 哲志 (はらだ さとし)

研究・専門分野
資産運用、オルタナティブ投資

(2022年01月11日「基礎研マンスリー」)

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