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大臣会見でツイート数と投稿者数が急増もリツイート数はごく少数のツイートが左右-「年金」を含むツイートの基礎的な動向分析(2021年9月中下旬)
保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫
次に、投稿日と各ツイートの いいね数の区分1(図表5の左上段や左下段で用いた主な件数の区分)を組み合わせて傾向や特徴を確認したのが、図表6である。
ツイート数を見ると(図表6の左上段)、図表5の分析対象期間全体と同様に いいね数がゼロ件や1件のツイートがツイート数の大半を占めている。その一方で いいね数を見ると(図表6の中段)、 いいね数が10件以上のツイートが いいね数の大半を占めている。 いいね数が10件以上のツイート数を対数軸で確認すると(図表6の右上段)、9月10日は約700件、9月11日は約1,000件あるものの、他の日は400件前後しかなく、 いいね数が1件以上のツイートの半数以下である。これらのことから、全体の いいね数の増加は、多くのツイートの いいね数が増加した影響ではなく、一部のツイートの いいね数が多かった影響で起きていることがうかがわれる。また、全体のリツイート数についても、一部のツイートの いいね数が多かったことと関連している模様である(図表6の下段)。
図表7の上段をみると、各ツイートの いいね数が上位0.1%以上(1,136件以上)のツイートの数は概ね各日4~9件程度で推移し、上位1%以上(84件以上)のツイートの数は各日概ね50~100件程度で推移している。このようにツイート数は少数であるにもかかわらず、図表7の中段を見ると、ほぼ全ての日付で いいね数が上位0.1%以上と上位1%以上のツイートが全体の いいね数の大部分を占めている。特に、 いいね数が上位0.1%以上のツイートは、9月19日や9月25日に全体の いいね数やリツイート数が大きく増加した主因となっている(図表7の中段および図表6の中段)。同様の傾向は、リツイート数についても見られる(図表7の下段と図表6の下段)。
各ツイートの いいね数を上位パーセンタイルで区分した図表7と同様に、各ツイートのリツイート数を上位パーセンタイルで区分して集計したのが、図表8である。各ツイートの いいね数で区分した場合と同様に、各ツイートのリツイート数が上位0.1%以上(406件以上)のツイートの数は各日数件程度、上位1%以上(21件以上)のツイートの数は各日概ね数十件程度と少数で推移しているが(図表8の左下段)、ほぼ全ての日付でリツイート数が上位0.1%以上と上位1%以上のツイートが全体のリツイート数の大部分を占めている(図表8の右上段)。特に、リツイート数が上位0.1%以上のツイートは、9月19日や9月25日に全体の いいね数やリツイート数が大きく増加した主因となっている(図表8の右上段との右下段)。
いいね数とリツイート数については、前節で確認した投稿日ごとの傾向に加えて、図表3で確認したように投稿時刻ごとでの傾向にもツイート数や投稿者数と違いがあり、時刻によって大きく変動するのが特徴だった。そこで、投稿時刻ごとでの傾向の要因を探るために、投稿時刻と前節で用いた各ツイートの いいね数とリツイート数の区分2(上位パーセンタイルでの区分)を組み合わせて傾向や特徴を確認したのが、図表9である。
図表9の左上段を見るとツイート数の大半は いいね数が下位90%のツイートで占められており、図表9の右上段を見ると いいね数が上位0.1%のツイートは各時刻(時単位)に数件あるかないかである。これらのツイートは、件数が少ないため時刻ごとの件数の変動が生じやすく、1件当たりの いいね数が多いために全体の いいね数に大きな変動を生じさせる主因となっている(図表9の左下段)。
リツイート数についても、変動の様子は違うが、同様の要因で変動が生じている(図表10)。
これまで見てきたように、 いいね数とリツイート数には似た傾向が見られる。そこで、図表7や図表8で用いた上位パーセンタイルでの区分を使って両者の関係を確認したのが、図表11である。
まず、いずれの指標でも円が左下から右上にかけて分布しており、 いいね数とリツイート数の片方だけが多いツイートはほとんど存在しないことが分かる。
両区分の組合せごとにツイート数と投稿者数を集計すると(図表11の上段)、 いいね数とリツイート数がともに下位90%のものが多数を占めている。これは、図表5で確認したように、 いいね数とリツイート数の双方でゼロ件のツイートが大部分を占めていたためである。 いいね数またはリツイート数が上位10%のものを見ると、 いいね数とリツイート数の両方が上位10%のものと、片方だけが上位10%で他方が下位90%のものが、ほぼ同数ずつになっている。これに対して、 いいね数またはリツイート数が上位1%のものや いいね数またはリツイート数が上位0.1%のものをみると、 いいね数とリツイート数の両方が上位1%や上位0.1%になっているものが多い。このことから、上位1%に該当するような多くの いいねを付与されるツイートは多くリツイートされる傾向や、同様に多くリツイートされるツイートは多くの いいねを付与される傾向が、読み取れる。
両区分の組合せごとに いいね数とリツイート数を集計すると(図表11の左上段との右上段)、 いいね数とリツイート数の両方が上位0.1%に該当するというかなり少数のツイート(約13万件中の108件)に対する いいね数とリツイート数が、かなり大部分の いいね数(100万件中の36万件)やリツイート数(28万件中の13.7万件)を占めていた。また、 いいね数とリツイート数の両方が上位1%に該当するツイート(766件)も、多くの いいね数(22万件)やリツイート数(7.2万件)を占めていた。なお、 いいね数とリツイート数の両方が上位0.1%に該当するツイート(ツイート数=108件、 いいね数=36万件、リツイート数=13.7万件)は68件のユーザー名から、両方が上位1%に該当するツイート(ツイート数=766件、 いいね数=22万件、リツイート数=7.2万件)は507件のユーザー名から、投稿されていた。
4 ―― まとめ
- 投稿日ごとに見ると、厚生労働大臣が定例記者会見で年金制度改正について発言したことや自民党総裁選挙で年金制度の大幅な見直しが話題になったことなどの年金に関するニュースがある日は、ツイート数や投稿者数、 いいね数やリツイート数が多かった。ただし、 いいね数やリツイート数は、大きなニュースがなかったと思われる日にも増加が見られた。
- 投稿時刻(時単位)ごとにみると、通勤通学中や昼休みや夜間にツイート数や投稿者数、 いいね数やリツイート数が多かった。ただし、 いいね数やリツイート数は時刻ごとの変動が大きかった。
- 投稿日時ごとに見ると、厚生労働大臣の記者会見を契機とした盛り上がりでは未明にもツイートが多かったが、自民党総裁選挙を契機とした盛り上がりでは未明の投稿が低調だった。
- 各ツイートの いいね数とリツイート数は、ゼロ件が大半だが、ごく少数のツイートではかなり多くの いいね数とリツイート数になっており、これらが いいね数とリツイート数全体の大部分を占めていた。
- 大きなニュースがなかったと思われる日に いいね数やリツイート数が増えていたのは、かなり多くの いいね数とリツイート数があるツイートの影響だった。
- かなり多くの いいね数とリツイート数があるツイートは件数が少ないため、投稿時刻(時単位)ごとに いいね数とリツイート数の変動が大きいことの主因となっていた。
- 各ツイートの いいね数とリツイート数は、 いいね数やリツイート数が多いと相関し、これらのごく少数のツイートが いいね数全体とリツイート数全体の大部分を占めていた。
後日実施予定のテキストマイニングの手法を使ったツイート内容の分析が最終的な目的であるため、本稿の分析対象ツイートには単純なリツイート(投稿者自身の発言を含まないもの)を含んでいない。リツイートも投稿者の態度表明の一種ではあるが、投稿者自身の発言がないとリツイートしたツイートに対してどういう態度なのかが分からないためである。本稿の分析結果からは、分析対象ツイートに単純なリツイートを含めると、ごく少数のツイートが相当回数含まれることになる。そのため、分析対象に単純なリツイートを含めた場合と含めなかった場合とで、ツイート内容の分析結果に違いが出てくる可能性がある。ツイート内容の分析を通じてツイートに含まれる投稿者の態度を知るという主旨を考えると、単純なリツイートを含めない方が主旨に沿っていると思われる。
また、本稿の分析では、年金に関するニュースがある日は、ツイート数だけでなく投稿者数も増えることが分かった。これを踏まえれば、年金に関するニュースがある日辺りのツイートを分析すれば、年金に対する多くの人々の態度を知りうる可能性があることが、示唆される。
03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
(2021年11月09日「基礎研レポート」)
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