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- ドル円失速の理由とドル高再開の条件~マーケット・カルテ5月号
2021年04月20日
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当面は揺り戻しが続く可能性があるものの、米国ではワクチンの接種が順調に進み、景気も好調を維持すると見込まれることから、米長期金利は次第に持ち直し、ドル高圧力になっていく可能性が高い。一方で、米緩和長期化方針が当面維持されることや米政権による増税への警戒、対ユーロでのドル安(後述)が円安ドル高の抑制要因になる。中国等を巡る地政学リスクや過熱感が燻る株式相場の不安定化がリスク回避的な円高圧力となることも想定される。これらによってドル高圧力が相殺され、3カ月後の水準は現状程度になると予想している。円安ドル高トレンドの再開には、米景気回復がある程度続き、量的緩和縮小観測が再び台頭することが必要であり、しばらく時間がかかりそうだ。
今月はドル安が主たるテーマとなり、ユーロに対しても円と同様にドル安が進んだことで、ユーロ円は足元にかけて130円前後での一進一退が続いている。ユーロ圏ではコロナの感染拡大を受けて強めの行動規制が続いているが、夏場にかけてワクチン接種進行や規制の効果で感染が縮小に向かうことが期待され、一旦ユーロ高圧力が強まる可能性が高い。ECBによるユーロ高けん制への警戒がユーロの重荷になるものの、3か月後の水準は現状比でやや円安ユーロ高と見ている。
月初0.1%台前半にあった長期金利は、米金利低下の波及や順調な入札結果、リスク回避的な債券需要を受けて低下し、足元は0.0%台後半にある。今後は米金利持ち直しの波及が予想されるものの、0.1%を上回る水準では債券需要が高まり、金利が抑制されるだろう。従って、3か月後の水準は現状をやや上回る0.1%程度と見ている。
(執筆時点:2021/4/20)
(2021年04月20日「基礎研マンスリー」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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