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景気ウォッチャー調査(21年2月)~感染者数の減少やワクチン接種開始により現状DI、先行きDIともに大幅上昇
山下 大輔
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1.景気の現状判断DIは4か月ぶりに上昇、先行き判断DIは3か月連続で上昇
2.景気の現状判断DI(季節調整値):全ての内訳で上昇
<緊急事態宣言やGo To トラベルの一時停止、営業時間短縮の影響に関する主なコメント>
- 緊急事態宣言が解除されず、Go To Travelキャンペーンも一時停止の状態で、客の来店が少なく、売上もほとんどない。(南関東・旅行代理店)
- 緊急事態宣言発出に伴い2月28日までは午後8時までの営業となれば、居酒屋ではこれからという時間で終わりになり、ほとんど入客が取れないので、現在は宣言解除までは全店休業としている。金銭的な面と、スタッフのモチベーションを維持するのが極限に来ている。(沖縄・その他飲食[居酒屋])
- 新型コロナウイルスの影響で、全然仕事がない。緊急事態宣言が発出されて、ますます少なくなっている。電車に乗っている人も少なく、街なかには歩いている人もいなくなった。宣言が解除されても、なかなか元に戻るとは思えない。(北関東・タクシー運転手)
<在宅時間の増加を反映した需要増加に関する主なコメント>
- 宅配を扱う輸送業で好業績が報道されているが、BtoBでも個人消費者向けの物量は底堅く、利益を押し上げている。(東海・輸送業)
- 今年に入ってから、インターネット契約が順調な伸びをみせている。また、通信速度の早い回線への切替えも増えており、在宅勤務の定着が少し進んでいるように感じる。(近畿・通信会社)
- 家の中や近場でできる娯楽が主となっており、食を中心とした需要がある。食品の物産催事やバレンタインの企画等は高額品から品薄となり、自分への御褒美需要が顕著にみられる。(北陸・百貨店)
- 景気動向としては、大きな変動はないが、生活スタイルが家中であることは間違いない。食料品好調に対して、衣料関連は苦戦している。(九州・スーパー)
<株価に関する主なコメント>
- 今月の売上は、緊急事態宣言により1時間の時短営業を行っているものの、前年比で8%の減少にとどまる。株価の高騰に反応し、宝飾品や美術品、輸入ブランドの売上が好調である。一方、衣料品や身の回り品は、相変わらず前年比で25%減少と厳しい状況にある。(近畿・百貨店)
- 緊急事態宣言が延長され、不要不急の外出が制限されているなかで、外出着や雑貨などに対する客の消費行動は全く振るわず、景気の悪い状況が継続している。株高などの好材料もあるが、現時点での実感は余りない(南関東(東京都)・百貨店)
<福島県沖地震に関する主なコメント>
- 新型コロナウイルス感染の終息が見えず、新車販売が停滞している。また、半導体不足と先日の地震の影響で新車の生産が止まったことも、販売減の要因となっている。(甲信越・乗用車販売店)
3.景気の先行き判断DI(季節調整値):内訳のほぼ全てで3か月連続上昇
景気の先行き判断DIの回答者構成比でみても、悪化と回答した割合(「悪くなる」と「やや悪くなる」の回答の合計)(1月:38.1%→2月:20.4%)と減少する一方で、改善と回答した割合(「良くなる」と「やや良くなる」の回答の合計)(1月:17.6%→2月:36.3%)や現状維持(「変わらない」)と回答した割合(1月:44.3%→2月:43.3%)は増加した。
<緊急事態宣言解除、ワクチン接種開始、Go To トラベル再開への期待に関する主なコメント>
- 3月以降に緊急事態宣言が解除されるのと、Go To Travelキャンペーンの再開による観光客及び外食の増加に期待している。(沖縄・食料品製造業)
- 4月から開始されるワクチン接種により、更なる感染者数の減少や病床使用率の改善が見込めるため、期待感を持っている。あわせて、Go To Travelキャンペーンが再開されれば、更に改善されるとみている。(北関東・旅行代理店)
- 大変厳しく、いつ倒産するか分からない状態である。早く緊急事態宣言を解除して、新型コロナウイルスのワクチン接種を進めてもらい、新型コロナウイルスがインフルエンザと同じようになるのを願うばかりである。(南関東(東京都)・一般レストラン)
<東京オリンピック・パラリンピックに関する主なコメント>
- 東京オリンピックが最大のイベントとして、映像関連の販促に注力している。ホテル関係の備品や通信関係の見直し、除菌関係の提案の取組も強化して、売上を確保していく。(北関東・家電量販店)
- ワクチン接種、Go To Travelキャンペーンの再開、東京オリンピック開催など国家プロジェクトの実施が大きな鍵となる。いずれも遅れや中止などが決定された場合には、観光業界の将来の景気は確実に今よりも悪化する。(東北・旅行代理店)
<先行きの不透明感を指摘する主なコメント>
- 新型コロナウイルスの影響で業績が悪化している会社が多く、失業者も増加していることから、今後の景気はやや悪くなる。(北海道・金属製品製造業)
- 学生の就職ランキングで人気上位だった企業が、2022年度の新規採用の見送りや人員の削減等を発表している。4月以降になると企業が新年度に入るため、更に厳しい政策が発表されると予想される。(九州・新聞社)
2月調査の結果は、新型コロナウイルス感染症の感染状況の落ち着きとそれに伴う一部の府県に対する緊急事態宣言解除などにより、現状の景況感が改善したことを示すものであった。また、ワクチンへの期待感などから先行きをより楽観的に捉える見方が強まっていることが伺われた。ただし、以前より景況感が改善したといっても悪化の度合いが緩和されたに過ぎない。今後も、感染動向やそれへの対応策に景況感が左右される状況は続くと予想されるが、感染者数が減少し、ワクチン接種が進捗するなどの感染収束への期待が高まる状況になれば景況感は一層改善に向かう可能性が高いだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年03月09日「経済・金融フラッシュ」)
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