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新型コロナ ワクチンのただ乗り ワクチン忌避をいかに減らすか?
基礎研REPORT(冊子版)3月号[vol.288]
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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ワクチン接種には、慎重な人が多い
「ワクチン接種ゲーム」のモデル化
接種の判断には、前期に接種した人やしなかった人が受けたメリットとデメリットが参考になる。少し整理してみよう。
デメリット割合とワクチン接種率
まず費用について、日本では、新型コロナのワクチンは、無料で受けられる。ただし、費用は、接種そのものの費用だけとは限らない。接種会場までの交通費や、接種のための休業などが考えられる。
もう1つの副反応について、どんなワクチンでも副反応を完全にゼロにはできない。欧米では、接種後にアレルギー反応が出たケースが報告されている。一時的な炎症ではなく、生命の危険や、後遺症の残る副反応は、デメリットが大きい。
ワクチン接種ゲームでは、メリットを100%とし、それに対するデメリットの割合に応じて接種の有無を判断。何期か終えた後の結果のイメージをみてみよう。
誰の真似をするか
問題は、誰の真似をするかだ。まず考えられるのは、家族や友人など身近な人だ。しかし、そればかりとは限らない。メディアで有名人の接種が報じられれば、影響を受ける人も多いはずだ。アメリカでは現大統領が、12月に接種を受ける姿を公開していた。これは国民への接種推奨効果を考えてのことといえる。
では、接種に関する情報が開示されていて、真似する対象が多い場合はどうなるか?先ほどのモデルによると、グラフの2の部分が違ってくる。情報が開示されるほど、デメリットが上がった時の接種率の低下の傾きが急になる。つまり、人々がデメリットの情報に敏感になる。
デマはワクチン忌避をもたらす恐れも
SNS上のデマ情報に翻弄される懸念もある。人々が疑心暗鬼に陥り、ワクチンを忌避してしまいかねないからだ。WHOは、健康に対する脅威の1つとして、「ワクチン忌避」を挙げている。
最終的には、一人ひとりが納得のいく判断をして、ワクチン接種に対応する。これが、集団免疫確立の近道といえそうだ。
(2021年03月05日「基礎研マンスリー」)
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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