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コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?-50か国ランキング(2021年2月更新版)
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/35_ext_01_0.jpeg?v=1585725990)
経済研究部 主任研究員 高山 武士
コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?-50か国ランキング(2021年5月更新版)
1.結果の概要:昨年7月・10月に続き台湾が1位
本稿は2021年2月上旬までの状況を踏まえたランキングの更新版である。2月11日時点までのデータをもとに再評価をしたところ、結果は以下の通りとなった。
【評価結果】
・総合順位では、台湾、ニュージーランド、シンガポールの順に高評価となった。
・評価が低い国は、20年10月のランキングに続き欧州及び南米に多い。これらの国では感染者数が多く、また成長率も大きく落ち込んでいる傾向にある。
1 高山武士(2020)「新型コロナウイルスと各国経済-コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?49か国ランキング」『ニッセイ基礎研レター』2020-07-03および、高山武士(2020)「新コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?-50か国ランキング(2020年10月更新版)」『経済・金融フラッシュ』2020-10-14を参照。本稿の分析対象国は、前回の対象国(MSCI ACWIの指数を構成する 49 カ国・地域)に加えて、問い合わせの多かったベトナムを加えて50か国・地域としている。また、中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除くことし、香港等の地域も含めて「国」と記載する。
評価は、「コロナ被害」(感染拡大)と「経済被害」をいずれも小さく抑えている国という観点から実施し、具体的には「コロナ被害」は「(1)累積感染者数」「(2)感染拡大率」「(3)致死率」のデータ、「経済被害」はコロナ禍によって失われたGDPの損失を推計して評価している。より詳細な手法については、上記レポートを参照。
2.結果の詳細:コロナ禍は「ショック」から「長期戦」へ
今回のランキングは台湾やニュージーランドなど「コロナ被害」をかなり小さく抑えている国が上位となった。特に台湾は経済被害も小さく、2020年のGDP成長率はコロナ禍前の見通しを上回っている状況にある。
一方、ベトナムやタイについては、累積感染者数2は少ないが、冬に感染が拡大したことで「コロナ被害」のうち感染拡大率の順位を落としている。ただ、1日あたり感染者数は多くてタイで800人、ベトナムで50人程度(7日移動平均)であり、他国と比較すれば相対的に少ないため、きちんと感染拡大を抑制できれば実際の「コロナ被害」は軽微となる可能性もある。
「経済被害」では、最新の見通しや実績値を反映しているが、昨年10月時点の見通しから相対順位に大きく変動した国は少なかった。その中ではトルコやカタールといった国では成長率が昨年の見通しよりかなり上振れすると見られており、順位を上げている。ただし、全体的にみると、感染拡大率の変化がランキングを上下させる主因となった。
日本も冬の感染急拡大を受けて緊急事態宣言が再発令されているなど、感染拡大率の評価が低下したため、順位を落としている。ただし、感染者数や死亡者は他国と比較して、低水準に抑えている。
一方、南米や欧州は昨年10月の評価と同様に「コロナ被害」および「経済被害」のどちらも悪い国が目立つ。欧州では、第1波の際、致死率が高くなってしまったことが前回10月の評価に影響していたが、今回の評価では、冬の第二波急拡大で厳しいロックダウンに踏み切らざるを得なかった国が多く、「コロナ被害」「経済」ともに順位を上げる事ができなかったと言える。
このランキングでは、経済被害についてはコロナショックの深さを図ることを目的に2020年のGDPの落ち込み(ベースラインからの乖離)を推計してきた3。
しかし、感染拡大から1年以上が経過し、ウイルスの収束はなかなか見通せず、新型コロナウイルスとの戦いは長期化しそうである。ロックダウンを実施するとしても、それは一時期的なショックへの対応というよりも、新型コロナとの長期戦における政策手段のひとつ、という位置づけになると見られる。ワクチン接種は長期戦における有力な政策手段となりそうだが、経済成長の観点からは、対面サービス産業における非接触への対応といった構造改革なども問われる段階にあると言えるだろう。
このランキングは短期的なショックを念頭に、コロナ禍に上手く対応できている国を見極めようとしてきたが、今後は、長期戦を前提として各種の政策手段を駆使しつつ対応できる国・適応できる国を見極める段階にきているのかもしれない。
2 感染者数や死亡者は各国の報告数値を用いているが、国によって報告基準が異なる点に注意が必要。
3 経済被害は2021年以降も生じ得るが、各国間で比較した際の被害の大きさは2020年の被害規模と類似すると考えていた。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年02月15日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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