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- 景気ウォッチャー調査(20年11月)~感染拡大で、現状、先行きともに悪化。飲食の景況感悪化が顕著~
1.景気の現状判断DIは7か月ぶりに悪化、先行き判断DIも4か月ぶりに悪化
2.景気の現状判断DI(季節調整値):全ての内訳で前月より悪化
<Go To Travelキャンペーンなどの政策効果に関する主なコメント>
- Go To Travelキャンペーンを利用した国内観光客が増えており、にぎわいを取り戻しつつある。地域共通クーポンを利用した土産品の購入に対しても意欲的な人が多い。現状、個人客はほぼ例年並みに戻っており、インバウンドの団体客のみゼロという状況である。(北海道・観光名所)
- Go To Travelキャンペーン、Go To Eatキャンペーンにより、客数が戻りつつある。(沖縄・一般小売店)
<11月後半からの感染拡大による景況感の急速な悪化に関する主なコメント>
- 11月に入り、Go To Travelが本格的に動き出し、人出が際立って増え、また、クーポンの使用も多く驚いている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、3連休を境に、急に人出が引いている。(甲信越・商店街)
- Go To Eatキャンペーンが始まった頃から徐々にフリー客の予約が入るようになったのだが、このところの都内の新型コロナウイルス感染者数400~500人超えで、その後に入った宴会までも全てキャンセルの電話が鳴り始めている。年末から年始に掛けては相当ひどくなることが予想される。(東京都・一般レストラン)
- 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、11月24日~12月15日まで大阪市がGo To Travelキャンペーンの対象地域から除外されたことに伴い、宿泊予約がこの期間だけでなく、それ以降についてもキャンセルが多く発生している。また、宴会やレストランについても、大阪府から5名以上の宴会の自粛や営業時間の短縮要請が出され、多くのキャンセルが発生している。(近畿・都市型ホテル)
<感染拡大に伴う在宅時間の増加を反映した需要増加に関する主なコメント>
- テレワークやステイホームによる在宅時間が増えていることで、家具インテリアに対する支出が増加している。また、停滞していた請負物件も動き始めた。(北海道・家具製造業)
- テレワークによりネット環境の申込みが増えている。また、Webでのライブや舞台観賞等の利用による申込みもある。(東海・通信会社)
- 有機ELテレビの買換えで、かなりテレビが売れている。また、巣籠り消費や自宅での食事の増加から、炊飯器やホームベーカリー、コーヒーメーカーが売れている。(近畿・家電量販店)
3.景気の先行き判断DI(季節調整値):内訳の全てで悪化
<感染拡大に伴う今後の先行きへの懸念に関する主なコメント>
- 企業の冬のボーナス支給減少や、新型コロナウイルス感染第3波の拡大を受けて、再び行動制限や自粛の気運が高まり、景気は今よりも悪化する。(東京都・百貨店)
- 10月で新型コロナウイルス禍の来客数最悪の状況を抜け出したかにみえたが、第3波の影響で、大きく来客数が減っている。気温の低下で、新型コロナウイルス感染者の増加が予想され、外食や宴会の自粛が広がる可能性が高く、景気が上向く気配を全く感じない。(九州・スナック)
- 全国的に新型コロナウイルスの第3波が発生しており、本格的な冬を迎え、感染者がますます増加することが予想される。再度の緊急事態宣言が発出されれば、従来にないくらいの景気悪化が予想される。(東北・通信会社)
- 体力のない中小零細企業がコロナ禍により決算期に倒産することが懸念される。(東北・職業安定所)
<ワクチン開発に対する期待に関する主なコメント>
- 新型コロナウイルスのワクチンが開発され、今よりはやや良くなる。(中国・一般レストラン)
- 新型コロナウイルスの感染状況次第で変わると考えているが、ワクチンの有効性が確認されれば劇的に好転することもあると思う。(四国・乗用車販売)。
- 今後新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が次々に出てくることが予想されるので、悲観的になる必要はない。安心感が生まれれば上昇していく。(東海・その他飲食)
11月調査の結果は、このところの新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大により、飲食を中心として景況感が著しく悪化していることを示すものであった。政策効果の発現による下支えが引き続き期待されるものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く限り、今後も厳しい景況感が続くだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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山下 大輔
研究・専門分野
(2020年12月09日「経済・金融フラッシュ」)
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