2020年09月01日

年金改革ウォッチ 2020年9月号~ポイント解説:年金アプリ(公式)と定期便のQRコード

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任   中嶋 邦夫

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1 ―― 先月までの動き

年金事業管理部会は、前回に引き続いて日本年金機構の令和元年度業務実績報告書を審議し、了承した。資金運用部会は、2019年度と第3期中期目標期間(2015~19年度)の業務実績と評価を審議し、同部会での議論内容を付した上で原案どおり答申することとなった。企業年金・個人年金部会では、前回までの論点に対する金融機関の業界団体と企業年金連絡協議会の意見をヒアリングした。
 
○社会保障審議会  年金事業管理部会
8月3日(第50回) 日本年金機構の令和元年度業務実績他
URL  https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo50_00002.html (資料)
 
○社会保障審議会  資金運用部会
8月5日(第16回) GPIFの令和元年度業務実績評価、第3期中期目標期間実績評価
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12788.html (資料)
 
○社会保障審議会  企業年金・個人年金部会
8月20日(第13回)  関係団体からのヒアリング
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13048.html (資料)
 
8月26日(第14回)  関係団体からのヒアリング
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13182.html (資料)
 

2 ―― ポイント解説:年金アプリ(公式)と定期便のQRコード

2 ―― ポイント解説:年金アプリ(公式)と定期便のQRコード

7月27日の年金広報検討会*1では、個人の年金額の見通しの試算等を行うための「年金アプリ(公式)」を開発し、同アプリで読み込むためのQRコードを「ねんきん定期便」に記載する方針が示された。

本稿では、検討中の案の内容と課題を確認する。
 
*1 一般傍聴者の募集は行われず、議事録が8月下旬に公表されたため、先々月の開催ではあるが本号で取り上げる。なお、資料のURLは、https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00019.html
図表1 年金アプリ(公式)の利用イメージ(検討中の案)/図表2 QRコードに収載される情報(検討中の案) 1|検討中の案:年金アプリ(公式)で試算し、その結果をファイルで民間アプリへ連携
政府は、今後1年程度をかけて「年金アプリ(公式)」を開発する。検討中の案では、パート労働者が厚生年金に加入する場合や年金の受給開始時期を変更する場合(繰上げ/繰下げ受給)について、個人の年金記録に基づいた年金額の簡易試算を可能にする*2。試算結果をファイルに出力し、家計簿などの民間アプリとの連携も可能にする方針である。
現在でも、日本年金機構が提供するWebサービス「ねんきんネット」で試算可能だが、同アプリでは「ねんきん定期便」に印刷されたQRコードを読み取るため、ユーザー登録不要で試算が可能になるとみられる。
 
*2 検討会では言及されなかったが、働きながら年金を受給する場合(在職老齢年金)や保険料の見通しの試算も、重要であろう。
2|課題1:専門家への相談等で利用できるよう、QRコードや試算の仕様等を民間に提供
個人で試算できても十分な活用は難しく、ファイナンシャル・プランナーや金融機関の窓口などに相談するケースが想定される。しかし、試算結果が個人の端末内でしか利用できなければ不便だろう。出力されたファイルの送付も考えられるが、送付操作の難しさや誤送のリスクが課題となる。

そこで考えられるのが、民間のアプリで公式アプリと同様の試算ができるよう、QRコードや試算の仕様等を民間アプリの開発者へ提供することである*3。相談先のアプリ等でQRコードを利用できれば、大きな画面での分かりやすい説明や、年金額の試算だけでなく生活設計(ライフプラン)の作成などにも活用できるだろう。また試算の仕様等が提供されれば、年金制度に詳しくないアプリ開発者も参入しやすくなり、より分かりやすい図示などが期待できよう。
 
*3 制度変更等に伴うQRコードや試算方法の更新に対して民間アプリが適切に対応できるよう、単に仕様を公開するのではなく、適切に利用・更新することを契約した上で仕様を提供することや、アプリ同士が情報を連携する仕組み(API)を活用して読み取りや試算の部分は日本年金機構が管理・更新することなども、考えられる。
3|課題2:利用頻度の向上に向け、毎月の記録更新の通知や、アプリ自体を「ねんきん定期便」に
検討会では、「年金アプリ(公式)」の利用頻度を高める方策を求める意見も出た。現時点で検討されている同アプリの機能は、前述した試算以外に、厚生労働省の「年金ポータルサイト」や今後設置予定の制度改正の解説ページとの接続である。「年金ポータルサイト」には新着情報の欄がなく、制度解説は順次の公開が難しいが、既存の内容を連載形式で紹介して通知するなどの工夫は可能だろう*4

また、自分自身のこととして関心を持ってもらうために、「ねんきん定期便」の送付の通知(開封の勧奨)も考えられる。現在の検討案では利用者の誕生月が特定できないため、通知の中に「○月生まれの方に」などと記載する必要がある。アプリに「ねんきんネット」への接続機能が追加されてユーザー情報が登録されれば、毎月の加入記録の更新ごとに通知することや、公式アプリ自体を「ねんきん定期便」として利用し、アプリに表示されたQRコードを民間アプリで読み取ることなども考えられる*5
 
*4 また、本年5月の成立後に開設された制度改正に関するFAQなどは、制度改正がメディアで取り上げられている時期に通知されれば有益であろう(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html#h2_free3)。
*5 現在は、20歳到達者に「ねんきんネット」にアクセスできるQRコードなどを案内する葉書で送付されているが、年金手帳の廃止を考慮すれば、2022年度以降は年金アプリ(公式)を案内して年金手帳の代替として利用してもらうことも考えられる。
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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度

(2020年09月01日「保険・年金フォーカス」)

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