2017年02月07日

年金改革ウォッチ 2017年2月号~ポイント解説:「ねんきん定期便」のオンライン化

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任   中嶋 邦夫

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■要旨

1 ―― 先月までの動き

年金記録訂正分科会では、平成27年度の事業状況として年金記録の訂正に関する請求の受付・処理件数や請求内容等の説明が行われました。年金事業管理部会では、日本年金機構より平成28年度上半期の取組状況および、平成29年度以降のマイナンバーとの情報連携について報告がありました。また、昨年成立した年金機能強化法改正による制度改正への対応について実施状況と今後の見通しについて説明がありました。

2 ――― ポイント解説:「ねんきん定期便」のオンライン化

先月の年金事業管理部会では、昨年8月に続いて「ねんきん定期便」の原則オンライン化(電子版「ねんきん定期便」の原則化)が取り上げられました。本稿では、この取組みの概要と課題を確認します。

  1|取組みの概要
   :「ねんきんネット」を普及させ、「ねんきん定期便」の郵送を圧縮
  2|当面の課題
   :「マイナポータル」を通じた「ねんきんネット」の普及促進
  3|本当の課題
   :定期的な年金記録確認や、(たまには)老後を考えることの定着
 

1 ―― 先月までの動き

1 ―― 先月までの動き

年金記録訂正分科会では、平成27年度の事業状況として年金記録の訂正に関する請求の受付・処理件数や請求内容等の説明が行われました。年金事業管理部会では、日本年金機構より平成28年度上半期の取組状況および、平成29年度以降のマイナンバーとの情報連携について報告がありました。また、昨年成立した年金機能強化法改正による制度改正への対応について実施状況と今後の見通しについて説明がありました。
 
○社会保障審議会 年金記録訂正分科会
12月22日(第4回)年金記録の訂正に関する事業状況(平成27年度)
 URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000147078.html    (配布資料)
 
○社会保障審議会 年金事業管理部会
12月21日(第27回)日本年金機構の平成28年度上半期の取り組み状況、その他
 URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000146604.html    (配布資料)
1月23日(第28回)日本年金機構の中期計画の変更及び平成29年度計画の策定、その他
 URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000148570.html    (配布資料)
 
 
なお、昨年11月に成立した年金改革法(野党から「年金カット法案」と呼ばれたもの)についての特集ページが、首相官邸のホームページに開設されています。

 ・「年金改革法が成立しました」 http://www.kantei.go.jp/jp/headline/nenkin/
 

2 ―― ポイント解説:「ねんきん定期便」のオンライン化

2 ―― ポイント解説:「ねんきん定期便」のオンライン化

先月の年金事業管理部会では、昨年8月に続いて「ねんきん定期便」の原則オンライン化(電子版「ねんきん定期便」の原則化)が取り上げられました。本稿では、この取組みの概要と課題を確認します。
1|取組みの概要:「ねんきんネット」を普及させ、「ねんきん定期便」の郵送を圧縮
図表1 日本年金機構が計画している情報提供の取組み/図表2 「ねんきん定期便」の送付件数とコスト 「ねんきん定期便」とは、公的年金の全加入者へ毎年の誕生月に送られてくるお知らせです。過去1年間の加入履歴と年金額の見込みなどが載っています。「ねんきんネット」は、全期間の加入履歴の確認や年金額の試算などができる、インターネット上のサービスです。

現在、「ねんきん定期便」は原則として郵送されていますが、「ねんきんネット」の方が情報や機能が多く安全性も高いこと、全加入者への郵送は費用がかさむことなどから、政府は、電子メール等で情報更新を通知して、情報は「ねんきんネット」上で提供する「電子版ねんきん定期便」を原則化する計画です。

近年は、スマートフォンの普及でインターネット利用が身近になっています。米国でも、2014年から郵送頻度を5歳ごとに減らしてネットの利用を促進しており、電子化は世界的な流れと言えます。
2|当面の課題:「マイナポータル」を通じた「ねんきんネット」の普及促進

「ねんきん定期便」の原則オンライン化を実現するには「ねんきんネット」の利用登録者の増加が不可欠ですが、その鍵は「マイナポータル」の普及でしょう*1。「マイナポータル」とは、マイナンバーに関連した行政サービスの入口となるホームページです。ログインすると、自分のマイナンバーがどの行政手続きに使われているか等の確認のほか、国税の電子申告納税(e-Tax)や「ねんきんネット」なども利用できる予定です。「マイナポータル」のユーザー登録時に「ねんきんネット」のユーザー登録も(本人の同意の下で)半自動的に行われるなどの工夫を行えば、「ねんきんネット」の利用登録者の増加施策を「マイナポータル」の利用登録者増加施策に集約でき、コストの効率化や混乱の防止が期待できます。
3|本当の課題:定期的な年金記録確認や、(たまには)老後を考えることの定着

「ねんきんネット」の利用者が増えれば、多くの人が年金額の試算などを利用可能になるのと同時に、行政としてもコストを削減できます。しかし大事なのは、多くの人が年金記録の確認などを実際に行うことです。2007年に表面化した年金記録問題については、個人が自身の年金記録を定期的に*2確認することが重要、と各種の検証結果の中で述べられています。また、少子高齢化に伴って公的年金の水準が低下していくことを考慮すれば、「(電子版)ねんきん定期便」が発行された時(誕生月)などに老後に向けた貯蓄や就労継続等について考えることが重要です。「ねんきんネット」の普及施策は、現在のような“利便性”の周知だけでなく、このような“必要性”の訴求に力を入れるべきでしょう。
 
*1 年金事業管理部会では、「ねんきんネット」の利用登録が約5年で400万件を超えたのに対し、マイナンバーカードの発行は受付開始後数か月で1000万件を超えており、普及率に差があると指摘された。しかし「マイナポータル」の普及は未知数である。
*2 「ねんきん定期便」が導入される以前は、年金の受給手続きの際に初めて、過去の記録を確認する形が標準となっていた(中嶋[2010])。しかし、受給手続き時に過去の記録をすべて確認することは困難であるため、定期的な確認が求められている。雇用の流動化やパート労働者の厚生年金加入を考えれば、定期的な確認がますます重要になるだろう。
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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度

(2017年02月07日「保険・年金フォーカス」)

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