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- 英国雇用関連統計(6月)-無給休業者が50万人も
1.結果の概要:失業保険申請は頭打ち
【6月】
・失業保険申請件数1は前月(265.95万件)から2.81万件減の263.14万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は7.3%となり、前月(同7.4%)から下落した。
【5月(3-5月の3か月平均)】
・失業率は3.9%で前月(3.9%)から変わらず、市場予想2(4.2%)を下回った。
・就業者は3294.8万人で3か月前の3307.3万人から12.5万人の減少となった。
増減数は前月(+0.6万人)から減少したものの、市場予想(▲27.5万人)は上回った。
・週平均賃金は、前年同期比▲0.3%で前月(+1.0%)から減速したものの市場予想(▲0.5%)は上回った(図表2)。
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:失業率は変化なしだが、労働時間・賃金は急速に悪化、無給休業者も
失業保険申請件数と同じく6月のデータとして公表されている求人数および給与所得者数を確認すると、4-6月の平均求人数は33.3万件で3か月前との差は▲46.3万件と急減した。産業別に見ると、製造業が▲2.7万件、サービス業が▲41.4万件、その他産業が▲2.2万件となり、ほとんどがサービス業での落ち込みとなっている。大幅減だが単月のデータでは下落は止まった4。
3 ONSは新型コロナ対策でUCが拡充されたためUC受給水準となった雇用者が多く、失業者と一致しないことを指摘している。
4 未季節調整の原系列(実験統計)で、4月35.8万件(4月3日集計)、5月31.6万件(5月7日集計)、6月33.3万件(6月5日集計)。だだし、最新のオンライン広告件数(実験統計)では、6月26日から7月3日にかけて再び減少しており、増加基調にはない。
5 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した実験統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
6 雇用維持制度(Job Retention Scheme、10月末まで)により一時休業している従業員は給与所得者としてカウントされるため、雇用維持制度の恩恵を受けられなかった人が一定いると見られる。なお、7月12日時点で同制度の利用者は延べ940万件に達している。
7ONSは給与所得者については、5月以降の傾向として、流出する人(退職など)はむしろ以前より少なくなっており、流入する人(就職など)が減ったことが給与所得者の減少に寄与していることを指摘している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年07月17日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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