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2020年06月05日
欧州大手保険Gの生命保険事業の収益構造について-2019年決算数値等に基づく結果報告-
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3|Generali
(1)営業利益の構造
Generaliは、生命保険事業の営業利益(operating result)の構造を地域別に開示しており、次ページの図表の通りとなっている。
2018年から2019年にかけて、グループ全体では、「投資結果(Investment result)」は1,835百万ユーロから1,985百万ユーロに8.2%増加し、主としてイタリアとドイツやACEER(オーストリア、中東欧、ロシア)におけるユニットリンクやハイブリッド商品からの手数料の増加やこれらの地域におけるスプレッドの拡大傾向を反映して、「技術マージン(Technical margin)」のうちの「付加保険料&手数料5」は4,470百万ユーロから4.727百万ユーロに5.7%増加し、「技術的&その他結果(Technical & other result)」は1,330百万ユーロから1,441百万ユーロに8.3%増加した。一方で、「費用(Expenses)」も4,587百万ユーロから5,024百万ユーロに9.5%増加した。
各国・各地域別に見てみると、イタリアやフランスが引き続き投資結果に一定程度以上依存する収益構造であるのに対して、ドイツは投資結果が殆どなく、付加保険料&手数料や技術的&その他結果に依存した構造となっている。これに対して、中東欧等(オーストリア、中東欧、ロシア)は、投資結果及び付加保険料&手数料や技術的&その他結果の全ての項目から、相対的に高い収益が得られている構造となっている。
(1)営業利益の構造
Generaliは、生命保険事業の営業利益(operating result)の構造を地域別に開示しており、次ページの図表の通りとなっている。
2018年から2019年にかけて、グループ全体では、「投資結果(Investment result)」は1,835百万ユーロから1,985百万ユーロに8.2%増加し、主としてイタリアとドイツやACEER(オーストリア、中東欧、ロシア)におけるユニットリンクやハイブリッド商品からの手数料の増加やこれらの地域におけるスプレッドの拡大傾向を反映して、「技術マージン(Technical margin)」のうちの「付加保険料&手数料5」は4,470百万ユーロから4.727百万ユーロに5.7%増加し、「技術的&その他結果(Technical & other result)」は1,330百万ユーロから1,441百万ユーロに8.3%増加した。一方で、「費用(Expenses)」も4,587百万ユーロから5,024百万ユーロに9.5%増加した。
各国・各地域別に見てみると、イタリアやフランスが引き続き投資結果に一定程度以上依存する収益構造であるのに対して、ドイツは投資結果が殆どなく、付加保険料&手数料や技術的&その他結果に依存した構造となっている。これに対して、中東欧等(オーストリア、中東欧、ロシア)は、投資結果及び付加保険料&手数料や技術的&その他結果の全ての項目から、相対的に高い収益が得られている構造となっている。
5 ここでは、「収益マージン(Margin on revenues)」及び「ユニット/インデックス・リンク手数料(Unit/indexed linked fees)」の合計を「付加保険料&手数料」としている。
4|Aviva
(1)営業利益の構造
Avivaは、生命保険事業の営業利益(operating profit)の構造を地域別に開示しており、以下の図表の通りとなっている。
2018年から2019年にかけて、グループ全体では、「新契約収入(New business income)」が1,381百万ポンドから1,535百万ポンドに11.2%増加したものの、「保険引受マージン(Underwriting margin)」が681百万ポンドから634百万ポンドに7.4%減少した。また、「投資リターン(Investment return)」は2,770百万ポンドから2,803百万ポンドに1.2%増加した。「費用(Expenses)」は2,424百万ポンドから2,459百万ポンドに1.4%増加した。なお、「その他」には、DAC(繰延新契約費)、モデルや前提の変更、一時的な項目等が含まれており、英国における長寿死亡率の変更がプラスに働いているが、グループ全体では514百万から396百万ポンドに23.0%減少した。以上の結果として、全体の営業利益は2,922百万ポンドから2,909百万ポンドに0.4%減少した。
地域別の特徴としては、アジアにおける投資リターンのウェイトが、英国や欧州(英国以外)に比べてかなり低くなっていることが挙げられる。
(1)営業利益の構造
Avivaは、生命保険事業の営業利益(operating profit)の構造を地域別に開示しており、以下の図表の通りとなっている。
2018年から2019年にかけて、グループ全体では、「新契約収入(New business income)」が1,381百万ポンドから1,535百万ポンドに11.2%増加したものの、「保険引受マージン(Underwriting margin)」が681百万ポンドから634百万ポンドに7.4%減少した。また、「投資リターン(Investment return)」は2,770百万ポンドから2,803百万ポンドに1.2%増加した。「費用(Expenses)」は2,424百万ポンドから2,459百万ポンドに1.4%増加した。なお、「その他」には、DAC(繰延新契約費)、モデルや前提の変更、一時的な項目等が含まれており、英国における長寿死亡率の変更がプラスに働いているが、グループ全体では514百万から396百万ポンドに23.0%減少した。以上の結果として、全体の営業利益は2,922百万ポンドから2,909百万ポンドに0.4%減少した。
地域別の特徴としては、アジアにおける投資リターンのウェイトが、英国や欧州(英国以外)に比べてかなり低くなっていることが挙げられる。
また、資産残高の増加等に伴い、ユニットリンク・マージンが投資リターン全体の6割弱を占めている。
「ユニットリンク・マージン」については、資産残高が増加しているものの、高マージンの商品から低マージンの商品へのシフト等もあり、2018年から2019年にかけては若干減少した。「有配当」については、英国で減少したものの、欧州(英国以外)で増加したことから、全体でも増加した。「スプレッド・マージン」も増加したが、一方で「株主資産の期待リターン」はほぼ横ばいだった。
なお、地域別にみると、Avivaにおいても、アジアの投資リターン率は、英国やその他の欧州の水準に比べて高くなっているが、絶対額はいまだ全体の1割弱に留まっている。
「ユニットリンク・マージン」については、資産残高が増加しているものの、高マージンの商品から低マージンの商品へのシフト等もあり、2018年から2019年にかけては若干減少した。「有配当」については、英国で減少したものの、欧州(英国以外)で増加したことから、全体でも増加した。「スプレッド・マージン」も増加したが、一方で「株主資産の期待リターン」はほぼ横ばいだった。
なお、地域別にみると、Avivaにおいても、アジアの投資リターン率は、英国やその他の欧州の水準に比べて高くなっているが、絶対額はいまだ全体の1割弱に留まっている。
5|Prudential
(1)営業利益の構造
Prudentialは、営業利益(operating profit)の構造を地域別に開示しており、次ページの図表の通りとなっている。
グループ全体の「スプレッド収入(Spread income)」は、低金利環境下での利回り低下等により、毎年低下してきているが、2019年は111bps(2018年 145bps)となった。これにより、スプレッド収入は2018年の1,088百万ドルから11.5%減少(比較可能ベースでは、1,083百万ポンドから11.1%減少、以下同様)して、963百万ドルとなった。
一方で、「手数料収入(Fee income)」は、3,545百万ドルから3,578百万ドルに0.9%増加(3,542百万ドルから1.0%増加)し、「保険引受けマージン(Insurance margin)」が3,245百万ドルから3,561百万ドルに9.7%増加(3,233百万ドルから10.1%増加)した。これらは高い資本効率商品へのシフト戦略の結果によるものである、としている。 「収益マージン(Margin on revenues)6」は、2,810百万ドルから3,035百万ドルに8.0%増加(2,790百万ドルから8.8%増加)した。「費用(Expenses)」は5,718百万ドルから5,402百万ドルに5.5%減少(5,692百万ドルから5.1%減少)した。
(1)営業利益の構造
Prudentialは、営業利益(operating profit)の構造を地域別に開示しており、次ページの図表の通りとなっている。
グループ全体の「スプレッド収入(Spread income)」は、低金利環境下での利回り低下等により、毎年低下してきているが、2019年は111bps(2018年 145bps)となった。これにより、スプレッド収入は2018年の1,088百万ドルから11.5%減少(比較可能ベースでは、1,083百万ポンドから11.1%減少、以下同様)して、963百万ドルとなった。
一方で、「手数料収入(Fee income)」は、3,545百万ドルから3,578百万ドルに0.9%増加(3,542百万ドルから1.0%増加)し、「保険引受けマージン(Insurance margin)」が3,245百万ドルから3,561百万ドルに9.7%増加(3,233百万ドルから10.1%増加)した。これらは高い資本効率商品へのシフト戦略の結果によるものである、としている。 「収益マージン(Margin on revenues)6」は、2,810百万ドルから3,035百万ドルに8.0%増加(2,790百万ドルから8.8%増加)した。「費用(Expenses)」は5,718百万ドルから5,402百万ドルに5.5%減少(5,692百万ドルから5.1%減少)した。
6 主として、保険料から新契約費や管理経費をカバーするために控除される金額等
(2020年06月05日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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