- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 経済活動再開で円相場はどうなる?~マーケット・カルテ6月号
2020年05月20日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
今月のドル円は概ね横ばい圏で推移。新型コロナウイルス感染鈍化に伴う欧米での経済再開の動きを受け、リスクオンの円安が進む場面が散見されるほか、直近では日銀の新しい資金供給策導入観測が円売り材料になっている。ただし、一方で感染第2波への懸念やコロナ拡大の責任を巡る米中対立を受けたリスクオフの円高が入る場面もあり、方向感を欠いている。そもそも円もドルも共に安全通貨と見なされているうえ、金融政策も日米共に大きく緩和に傾いていることから、ドル円では大きな方向性が出にくくなっている。足元は107円台後半で推移している。今後も内外で経済活動の再開が続き、景気が回復に向かうと見込まれることはリスクオンの円売り材料となる。ただし、ワクチンの実用化には時間がかかるため、感染第2波への市場の警戒感が続くほか、米中対立が激化する可能性も高く、リスクオフの円買い圧力も想定される。3か月後の水準は現状並みと予想している。なお、仮に欧米で新型コロナの感染がぶり返せば、資金繰り懸念からドルを求める動きが再発し、ややドル高に振れると想定している。
ユーロ円は、今月に入り、独連邦憲法裁判所によるECB緩和策への一部違憲判断を受けて一旦ユーロ安に振れたが、リスクオンの円売りや独仏政府による復興基金案発表を受けて持ち直し、足元は118円近辺にある。今後は、ドル円同様、リスクオンの円売りとリスクオフの円買いがせめぎ合うが、復興を巡るEU内意思決定の足並みの乱れや、南欧の債務懸念によってユーロ安圧力が強まる場面も予想される。従って、3カ月後の水準は現状比でやや円高ユーロ安と見ている。
長期金利は、景気対策に伴う国債増発方針が金利上昇圧力になる一方で、日銀の国債買い入れ増額が低下圧力となる形で0.0%付近での推移が続いており、足元も0.0%付近にある。今後も追加経済対策による国債増発が予想されるが、政府との協調姿勢を鮮明にしている日銀は金利の上昇を許容しないだろう。3か月後の水準は現状比で横ばい圏とみている。
(執筆時点:2020/5/20)
(2020年05月20日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/22 | 高市新政権が発足、円相場の行方を考える~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
| 2025/10/14 | 貸出・マネタリー統計(25年9月)~銀行貸出の伸びが4年半ぶりの4%台に、定期預金等はバブル期以来の高い伸びを記録 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/06 | 円安が続く背景を改めて点検する~円相場の行方は? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
| 2025/10/01 | 日銀短観(9月調査)~トランプ関税の影響は依然限定的、利上げ路線をサポートするも、決め手にはならず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年10月29日
生活習慣病リスクを高める飲酒の現状と改善に向けた対策~男女の飲酒習慣の違いに着目して -
2025年10月29日
地域イベントの現実と課題-渋谷のハロウィンをイベントとして運営できるか- -
2025年10月28日
試練の5年に踏み出す中国(前編)-「第15次五カ年計画」の5年間は、どのような5年か -
2025年10月28日
地域医療連携推進法人の現状と今後を考える-「連携以上、統合未満」で協力する形態、その将来像は? -
2025年10月28日
東宝の自己株式取得-公開買付による取得
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【経済活動再開で円相場はどうなる?~マーケット・カルテ6月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
経済活動再開で円相場はどうなる?~マーケット・カルテ6月号のレポート Topへ










