2020年04月23日

新型コロナで消費2割減、広がる?労働力の緩やかなシェアリング(中国)

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき

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■要旨

中国において、新型コロナの影響を最も受けた2020年1-3月の小売総額は、前年同期比19.0%減の7.9兆元と大幅に減少した。外食や高額消費が急減し、消費全体が冷え込んだ形だ。

一方、ネット販売をみると、食品、日用品の販売が急増しており、’巣ごもり消費’におけるネット販売のプレゼンスが向上した姿が見えてくる。ネット小売額は小売総額の23.6%を占めるまで拡大し、前年同期と比べると5.4ポイントも上昇した。

消費のあり方の変化に伴って、労働需要や労働市場も変動する。新型コロナによって注目されたのが‘人材や労働力の緩やかなシェアリング’だ。需要拡大するオンラインの事業者が、縮小するオフラインの事業者と直接提携し、一時的に人材や労働力を共有、借り受ける仕組みだ。例えば、レストラン、娯楽施設などで働いていた人材を、提携したネットスーパーやネット通販の受注作業や在庫管理業務などに一時的に配置転換するものである。2月8日にアリババグループのネットスーパー盒馬鮮生が提唱したことで、他事業にも拡大した。

■目次

1――食品・日用品の獲得といった日常生活の維持において、ネットのプレゼンスが向上
2――短期労働などの雇用が不安定化、新たに生まれた人材・労働力の緩やかなシェアリング
3――政府・企業・従業員・ユーザーの’四方よし’も、定着化には法的整備が必要
4――リバウンド消費と618への期待
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴
  • 【職歴】
     2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
     (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
     ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
     (2019年度・2020年度・2023年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
     ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
     日本保険学会、社会政策学会、他
     博士(学術)

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