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新型コロナで消費2割減、広がる?労働力の緩やかなシェアリング(中国)
保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき
1――食品・日用品の獲得といった日常生活の維持において、ネットのプレゼンスが向上
1 2020年1-3月における消費者物価指数は前年同期比4.9%と上昇。都市部は4.6%上昇、農村部は5.9%上昇であった。特に食品・タバコ類が14.9%上昇しており、その中でも生鮮野菜が9.0%、豚肉が122.5%と大幅に上昇した。
2 2020年1-3月における平均可処分所得は0.8%増(CPIを考慮すると実質前年比3.9%減)の8561元であった。都市部の住民の平均可処分所得は前年同期比0.5%増(実質3.9%減)の11691元、農村部の住民は前年同期比0.9%増(実質4.7%減)の4641元であった。
2――短期労働などの雇用が不安定化、新たに生まれた人材・労働力の緩やかなシェアリング
新型コロナによって注目されたのが’人材や労働力のシェアリング’だ。需要拡大するオンラインの事業者が、縮小するオフラインの事業者と直接提携し、一時的に人材や労働力を共有、借り受ける仕組みだ。例えば、飲食(レストラン)、娯楽施設、ホテル、百貨店で働いていた人材を、提携したネットスーパーやネット通販の受注作業や在庫管理業務などに一時的に配置転換するものである。これまで繁忙期のネット通販の配達員のシェアリングなど類似の仕組みは以前からあったが、2月8日にアリババグループのネットスーパー盒馬鮮生が提唱したことで、他事業にも拡大した。
今般、出現したシェアリングシステムは、多くが企業間で直接提携し、短期間、労働力を互いに融通しあう柔軟なシステムである。当初、盒馬鮮生が、窮状を訴えた外食チェーンの雲海肴や青年餐庁と提携したことに端を発している。外食チェーン側は営業休止という状況の中、自社の従業員に希望を募り、希望者は簡単な試験や研修を受けて、直接ネットスーパーに出勤するという形をとった。従事するのは、すぐ開始できる受注や在庫整理、棚出しなど基礎的な作業とし、給与は働いた時間で計算され、所属先企業が再開した場合はいつでも戻れることなどを基本条件としている。
3 国家統計局、「疫情冲撃下失業率情報統筹政策実施将帯動就業形勢改善」、2020年3月16日
3――政府・企業・従業員・ユーザーの’四方よし’も、定着化には法的整備が必要
盒馬鮮生はこのシェアリングシステムを通じて、3月20日までに50社と提携し、4,000人を確保している。また、同社に続いてウォルマート、京東、蘇寧、レノボなどネット販売のみならず他業種まで活用が広がっている。新型コロナという非常時に、労働市場で給与を引き上げて人材を奪い合うのではなく、企業の経営活動を相互に救済する特別措置と考えることもできる。盒馬鮮生は、このようなシェアリングシステムのプラットフォームの運営に乗り出すともしているが、一時的なものにととめず今後更なる定着をはかるには法的な整備も必要となってくるであろう。
4――リバウンド消費と618への期待
03-3512-1784
- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019年度・2020年度・2023年度)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
(2020年04月23日「基礎研レター」)
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