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- 金融政策の「不都合な真実」:政策空間再考
2019年10月30日
■要旨
金融政策が平時における伝統から非常時における非伝統に移行した現在、中央銀行の直面する「政策空間」は大きく変化した。フィリップス曲線はフラット化し、マクロ経済はインフレ率を高めるために失業率の大幅な低下が必要とされる「高圧経済」に陥っている。それに呼応し、統合された政府の予算制約式を構成する財政政策は、物価水準の引き上げを意図した非リカーディアン型のルールに転換し、インフレ期待とリスクテイクに働き掛ける金融政策は、中央銀行のバランスシートの拡大を図り、国債管理政策に転化しつつある。こうした変化の中、予期しないインフレの世代間の所得移転のリスクの高まり、技能間の賃金格差の拡がり、および文化的・経済的ポピュリズムの蔓延という社会・政治的撹乱要因が,政策空間を揺さぶっている。本稿では、金融政策のニューノーマルとして、ゼロ金利下限をもたらしてきた紙幣を廃止し、マイナス金利の誘導を容易にすること、既に拡大した中央銀行のバランスシートを活用し、超過準備に対する付利金利を政策金利の下限、リバース・レポ金利を政策金利の上限として設定する「コリドー・システム」を新たな手段とすること、の二点を提言したい。
■目次
1――はじめに
2――政策空間とその決定要因:平時と非常時
3――金融政策の社会・政治問題化
1|少子・高齢化の進行
2|生産の自動化の浸透・人工知能の高度化
3|超グローバル化への反動としてのポピュリズムの蔓延
4――結び:金融政策のニューノーマルへ
※ 励ましのコメントを頂いた地主敏樹、打田委千弘、矢嶋康次,英邦広、井田大輔、海野晋吾、山内眞樹、与世田兼稔、竹下勇夫の諸氏および沖縄事業再生研究会における勉強会への参加者に感謝致します。
金融政策が平時における伝統から非常時における非伝統に移行した現在、中央銀行の直面する「政策空間」は大きく変化した。フィリップス曲線はフラット化し、マクロ経済はインフレ率を高めるために失業率の大幅な低下が必要とされる「高圧経済」に陥っている。それに呼応し、統合された政府の予算制約式を構成する財政政策は、物価水準の引き上げを意図した非リカーディアン型のルールに転換し、インフレ期待とリスクテイクに働き掛ける金融政策は、中央銀行のバランスシートの拡大を図り、国債管理政策に転化しつつある。こうした変化の中、予期しないインフレの世代間の所得移転のリスクの高まり、技能間の賃金格差の拡がり、および文化的・経済的ポピュリズムの蔓延という社会・政治的撹乱要因が,政策空間を揺さぶっている。本稿では、金融政策のニューノーマルとして、ゼロ金利下限をもたらしてきた紙幣を廃止し、マイナス金利の誘導を容易にすること、既に拡大した中央銀行のバランスシートを活用し、超過準備に対する付利金利を政策金利の下限、リバース・レポ金利を政策金利の上限として設定する「コリドー・システム」を新たな手段とすること、の二点を提言したい。
■目次
1――はじめに
2――政策空間とその決定要因:平時と非常時
3――金融政策の社会・政治問題化
1|少子・高齢化の進行
2|生産の自動化の浸透・人工知能の高度化
3|超グローバル化への反動としてのポピュリズムの蔓延
4――結び:金融政策のニューノーマルへ
※ 励ましのコメントを頂いた地主敏樹、打田委千弘、矢嶋康次,英邦広、井田大輔、海野晋吾、山内眞樹、与世田兼稔、竹下勇夫の諸氏および沖縄事業再生研究会における勉強会への参加者に感謝致します。
(2019年10月30日「基礎研レポート」)
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上智大学経済学部 教授
竹田 陽介
研究・専門分野
竹田 陽介のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2019/10/30 | 金融政策の「不都合な真実」:政策空間再考 | 竹田 陽介 | 基礎研レポート |
2018/03/15 | 民主主義の赤字としての中央銀行を誰が掌るべきか | 竹田 陽介 | 基礎研レター |
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