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- FRBが追加利下げを実施、今後の円高リスクをどう見るか?~マーケット・カルテ10月号
2019年09月19日
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今後の最大のカギは米中協議の行方となる。最近は前向きな動きが続いているが、両国の主張の隔たりは大きく、今後も一筋縄では行きそうにない。既往の関税引き上げの影響等から世界経済への逆風も続く。従って、市場では今後一旦悲観への揺り戻しが起きる可能性が高い。この際、リスクオフや米利下げ観測の高まりによって円高がぶり返すと見込まれる。円高リスクの高い状況は今後も続くだろう。一方、来年年初に米大統領選モードへ突入することを踏まえると、トランプ大統領に残された時間は限られている。年末頃には合意に向けた前向きな動きが本格化し、ドル円は持ち直す可能性が高いと見ている。3カ月後の水準は現状程度と予想している。
ユーロ円は、今月、リスクオンの円売りに加え、ECBの追加緩和決定で緩和余地の限界が意識されたことがユーロ高に作用し、足元では119円台前半で推移している。緩和を決めたECBは当面動かないとみられること、ドイツの景気減速懸念は財政拡大期待で相殺されやすいことから、しばらくユーロ固有の強弱材料は出にくい。従って、ドル円同様、ユーロ円でも米中協議がカギとなり、一旦円高に振れた後、円安に回帰するシナリオを想定している。3カ月後の水準は現状程度と見ている。
長期金利は、今月、リスクオンの流れを受けて上昇し、足元は▲0.20%付近で推移している。今後は為替同様、米中協議を材料に一旦リスクオフで低下した後、年終盤にはリスクオンで持ち直す展開を予想しているが、世界的な金融緩和の流れはしばらく続き、金利上昇を抑制する。従って、3カ月後は現状より若干低い水準に留まると見ている。
(執筆時点:2019/9/19)
(2019年09月19日「基礎研マンスリー」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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