2019年08月30日

英議会の異例の長期閉会と「合意なき離脱阻止」の選択肢

経済研究部 研究理事   伊藤 さゆり

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■要旨
  1. ジョンソン首相が、異例の長期閉会を決めたことで、議会が「合意なき離脱」を阻止する機会は、9月初旬と10月下旬に狭められた。
     
  2. 議会の「合意なき離脱」阻止の手段は、(1)ジョンソン首相の合意の承認、(2)期限延期を強制する法案の制定、(3)内閣不信任決議だが、9月初旬の段階では、選択肢は(2)の法案の制定に絞られる。時間的に厳しく、反対派の足並みが揃わない可能性もある。
     
  3. ジョンソン首相は、「アイルランドの国境の開放を維持するための安全策を削除し代替策に置き換えた新たな合意」に基づく離脱を目指している。9月は週2回のペースでEUと協議する方針も明らかにしている。
     
  4. 「女王演説」後の10月17~18日にはEU首脳会議が予定されており、この時点までに、ジョンソン首相がEUとの合意に漕ぎ着けていれば、(1)の合意の承認が、首相の「合意なき離脱」を目指す姿勢が鮮明になっていれば、(3)の内閣不信任決議が選択肢となる。不信任動議の可決の場合、反対派が暫定政権の樹立で足並みを揃える必要がある。
     
  5. 反対派の協調行動の可否以上にブレグジットの行方に影響を持つのはジョンソン首相の意思だ。首相にとって「3度目の延期」は極めて困難な選択肢だ。「合意なき離脱」こそが首相の真の狙い、EUとの協議は責任転嫁のアリバイ作りという見方も根強い。しかし、混乱が生じれば事態の収拾に陣頭指揮を執らなければならないのは首相であり、「合意なき離脱」は得策ではない。次期総選挙での勝利にもつながらないと思うのだが、果たして、どうなるだろうか。
世論調査|首相は議会が可決できる協定の変更を得られない場合どうすべきか?
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