- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断D.I.は4ポイント低下の8と予想
2019年06月18日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 6月調査短観では、米中貿易摩擦の激化・長期化やそれに伴う中国経済の低迷を主因として大企業製造業で2四半期連続となる景況感悪化が示されると予想。非製造業では、都市再開発や五輪需要が下支えになるものの、顧客である製造業や消費者マインドの悪化を通じて米中摩擦の悪影響を受けるほか、人手不足に伴うコスト上昇も重荷になり、景況感がやや悪化しそうだ。中小企業も製造業、非製造業ともに悪化が見込まれる。
- 先行きの景況感もさらなる悪化が見込まれる。米中通商交渉は合意の目処が立っておらず、さらなる激化が懸念される。また、今後は日米通商交渉が本格化し、米政権からの対日圧力が懸念されるほか、英国のEU離脱問題も引き続き難航が予想される。製造業は事業環境のさらなる悪化を想定せざるを得ない。非製造業もインバウンドを通じて世界経済との繋がりが強まっているほか、消費増税を控えた消費者マインド悪化や人手不足への懸念も重荷になりそうだ。一方、消費増税前の駆け込み需要や、中国政府による景気対策などへの期待が下支えになることで、先行きの景況感が底割れする事態は避けられると見ている。
- 2019年度の設備投資計画は、非製造業を中心に2018年度実績比で3.9%増に上方修正されると予想。例年6月調査では大幅に上方修正される傾向が極めて強い。また実勢としても、潤沢な投資余力に加え、人手不足に伴う省力化投資や都市再開発関連投資需要などが追い風となり、底堅さが概ね維持されていると見込まれる。
- 今回の短観が「リーマンショック級に悪化する」ことは考えられない。ただし、短観の景況感悪化を大義名分に、政府・与党が経済対策の上積みに踏み切り、同時に追加緩和を求める声が出てくる可能性はある。緩和余地が乏しいだけに、今後、景気が急減速する場合や、政府による緩和圧力が高まる場合などには、日銀は厳しい判断を迫られることになる。
■目次
6月短観予測:貿易摩擦激化によって景況感はさらに悪化へ
・景況感は悪化、先行きもさらに悪化へ
・設備投資計画は前年比プラスへ
・注目ポイント:景況感の悪化度・広がり、設備投資計画
・日銀金融政策への影響:追加緩和圧力が高まる
6月短観予測:貿易摩擦激化によって景況感はさらに悪化へ
・景況感は悪化、先行きもさらに悪化へ
・設備投資計画は前年比プラスへ
・注目ポイント:景況感の悪化度・広がり、設備投資計画
・日銀金融政策への影響:追加緩和圧力が高まる
(2019年06月18日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/04/11 | 貸出・マネタリー統計(25年3月)~貸出金利は上昇中だが、貸出残高は増勢を維持、現金・普通預金離れが進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/07 | トランプ関税と円相場の複雑な関係~今後の展開をどう見るか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/01 | 日銀短観(3月調査)~日銀の言う「オントラック」を裏付ける内容だが、トランプ関税の悪影響も混在 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断D.I.は4ポイント低下の8と予想】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断D.I.は4ポイント低下の8と予想のレポート Topへ