- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- 欧州経済見通し-ECBの次の一手は利上げか緩和再拡大か?
2019年06月11日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- ユーロ圏経済は低調に推移している。内需とサービス業は堅調を保っているが、輸出と製造業が弱い。国別にはイタリアの不振が目立ち、ドイツも製造業が低迷している。
- 今後も、輸出環境は厳しいが、緩和的な金融環境とやや拡張的な財政政策の支えもあり、内需は底堅く推移するだろう。個人消費は、雇用・所得環境の改善に支えられた拡大が続く見通しだ。固定資本投資も勢いは鈍るが、拡大が続く見通しだ。企業の設備投資への姿勢は慎重化しつつも、前向きであり、技術革新や気候変動対策へのニーズもある。
- 実質GDPは、19年1.1%、20年1.2%と予想する。インフレ率は19年1.3%、20年1.5%で低インフレが持続する。
- ECBは、6月政策理事会で、想定以上の不確実性の長期化に対応し、政策金利を20年上半期を通して据え置く方針を表明、従来よりも半年延期する一方、TLTROIIIはTLTROIIよりも厳しめの条件を適用することを決めた。
- 今回の見通しでは、弱いながらも景気拡大が続くため、ECBは20年内に中銀預金金利のマイナス幅縮小に着手すると想定する。しかし、製造業の調整の影響が広がり、内需堅調シナリオが崩れ始めた場合や、FRBなど他中銀の利下げでユーロ高圧力が強まった場合、次の一手は量的緩和の再開や中銀預金金利の深堀りなど緩和の再拡大となるだろう。
- 域内では、イタリアは政治・政策リスクへの警戒が必要となっている。英国のEU離脱を巡っても不確実性の高い状態が続く見通しだ。
■目次
・ユーロ圏経済は輸出、製造業の弱さから低調に推移。内需は底堅さを保つ
・1~3月期の実質GDPは一時的要因も働き潜在成長率並みに回復
・4~6月期は再び潜在成長率割れ。米中摩擦やブレグジットの混迷が下振れリスク
・イタリアの不振が目立ち、ドイツも製造業が低迷している
・実質GDPは19年1.1%、20年1.2%。インフレ率は19年1.3%、20年1.5%
・6月ECB政策理事会は利上げ開始時期の半年延期を決定
・20年内の利上げ開始を見込むが、内需堅調シナリオが崩れれば、次の一手は利下げ
・イタリアには連立政権内の不協和音と財政政策を巡るEUとの対立が影
・EU離脱を巡り混迷する英国経済
・EU離脱を巡り不確実性の高い状態が続く、離脱撤回でも悪影響は残る
・BOEは5月初めの時点で利上げバイアス継続。内外環境の変化を受けた判断が注目
・ユーロ圏経済は輸出、製造業の弱さから低調に推移。内需は底堅さを保つ
・1~3月期の実質GDPは一時的要因も働き潜在成長率並みに回復
・4~6月期は再び潜在成長率割れ。米中摩擦やブレグジットの混迷が下振れリスク
・イタリアの不振が目立ち、ドイツも製造業が低迷している
・実質GDPは19年1.1%、20年1.2%。インフレ率は19年1.3%、20年1.5%
・6月ECB政策理事会は利上げ開始時期の半年延期を決定
・20年内の利上げ開始を見込むが、内需堅調シナリオが崩れれば、次の一手は利下げ
・イタリアには連立政権内の不協和音と財政政策を巡るEUとの対立が影
・EU離脱を巡り混迷する英国経済
・EU離脱を巡り不確実性の高い状態が続く、離脱撤回でも悪影響は残る
・BOEは5月初めの時点で利上げバイアス継続。内外環境の変化を受けた判断が注目
(2019年06月11日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1832
経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税へのアプローチ-日EUの相違点・共通点 | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/28 | トランプ2.0でEUは変わるか? | 伊藤 さゆり | 研究員の眼 |
2025/03/17 | 欧州経済見通し-緩慢な回復、取り巻く不確実性は大きい | 伊藤 さゆり | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 始動したトランプ2.0とEU-浮き彫りになった価値共同体の亀裂 | 伊藤 さゆり | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【欧州経済見通し-ECBの次の一手は利上げか緩和再拡大か?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
欧州経済見通し-ECBの次の一手は利上げか緩和再拡大か?のレポート Topへ