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高齢者による運転免許返納の都道府県差 ~団塊世代の免許保有率は高く、今後高齢ドライバーは増加する
基礎研REPORT(冊子版)5月号

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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本稿では、自主返納の地域差、およびその他の課題を紹介する。
1―高齢ドライバーによる事故の特徴とその対策の現状
75歳未満ドライバーによる死亡事故は「安全不確認」が多いのに対し、75歳以上ではハンドル操作やブレーキの踏み間違い等の「操作不適」が多い。また、死亡事故をおこした75歳以上は、認知機能の低下が指摘されるケースが75歳以上全体と比べて多く*1、加齢による身体や認知機能、判断スピードの衰えによる事故の発生が指摘されている。
対策として、免許の自主返納(申請による免許取消)が進められているほか、71歳以上は免許の有効期限が短縮され、免許更新時には、70歳以上は高齢者講習の受講が、75歳以上は認知機能検査の受検が、義務づけられている。認知機能検査の結果、必要があれば専門医を受診し、免許の停止・取消となることもある。
さらに、運転を止めることで、歩行や自転車など、高齢者にとってより危険な手段で移動せざるを得なくなることも課題とされる*3。
全国の自治体で、自主返納時に希望者に発行される運転経歴証明書で、公共交通の運賃を割引く等、運転に替わる移動手段を提供しているが、すべての課題が解決できるわけではない。
3―諸外国でも試行錯誤が続く
一方で、各国で行われている高齢ドライバー対策のすべてに事故を減らす効果があるわけではないといった報告がある等、試行錯誤が続いているようだ。
*1警察庁「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」
*2 所正文「超高齢社会と自動車交通」国民生活センター『国民生活』2016年
*3岡村和子「各国における運転適性と安全に運転できる能力の評価方法」国際交通安全学会、2017年
*4警察庁「外国の高齢者に対する運転免許制度の概要」第5回高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議、2017年
(2019年05月10日「基礎研マンスリー」)
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2003年 ニッセイ基礎研究所入社
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