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都道府県別にみたホテルの稼働率予測ーインバウンド拡大に伴う建設が進み、一部地域では供給過剰も
基礎研REPORT(冊子版)4月号
白波瀨 康雄
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1―はじめに
2―試算の概要・前提
3―2020年、2030年の利用客室数と客室稼働率の予測
すでに大阪は2.0万室、東京は3.0万室のホテルが2020年までにオープンする計画が見込まれており、2030年時点で必要となる客室数に匹敵している。オープン計画を加味すると東京、大阪の稼働率(2020年)は80%前後と高水準を維持しており、急増する需要に見合った計画といえる。2030年にかけても需給が逼迫した状況が続きそうだ。一方で、京都は2017年の客室数2.7万室に対して、41%増に相当する1.1万室のホテルが2020年までにオープンする計画となっており、供給過剰となる恐れがある。計画を加味した稼働率は67.9%と7割を割り込む水準まで大幅に低下している。ただ、京都市を訪れた訪日外国人の約3割は大阪府に宿泊*2しており、需給が逼迫している大阪から宿泊客を取り込める余地がある。
また、奈良、島根はホテルオープン計画を加味すると稼働率が大幅に低下した。ただし、奈良はホテル・旅館の客室数が全国最下位の47位、島根は42位と宿泊施設が少なく、魅力的なホテルを建設することで宿泊需要を取り込む狙いがあるようだ。特に奈良は、奈良市を訪れた日に奈良県に宿泊する訪日外国人は7.9%に留まり、約7割は大阪府、約2割は京都府に宿泊している*2。利用客室数の増加も見込まれる上[図表4]、受け入れ態勢が充実し他府県への流出に歯止めがかかれば稼働率が大幅に低下する事態には至らないと思われる。一方、島根は利用客室数の減少が見込まれ、受け入れ態勢を充実させるだけでは取り組みとして不十分だろう。地域一体となった観光客誘致への取り組みが求められる。
[*1]詳しくは基礎研レポート「都道府県別にみた宿泊施設の稼働率予測(2019年2月18日)」を参照されたい。また、同レポートではホテルだけでなく、旅館、簡易宿所の稼働率も予測している。
[*2]国土交通省近畿運輸局、関西観光本部、関西経済連合会「訪日外国人向けの関西統一交通パス「KANSAIONE PASS」の利用実績等のデータ分析結果(2017年4~12月利用分の約13.4万枚分のデータ)」
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(2019年04月05日「基礎研マンスリー」)
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