2019年02月12日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(2月号)~輸出は2年2ヵ月ぶりの減少、米国一強が鮮明に

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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シンガポールの18年12月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比10.1%減(前月:同4.2%減)と一段と低下した。輸出の伸び率は主力の電子製品が低迷するなかでも医薬品が牽引役となって増加傾向を続けたが、直近2カ月では電子製品と医薬品が揃って悪化して2年2カ月ぶりの二桁減となった。なお、総輸出額は前年同月比4.2%減(前月:同4.6%増)、総輸入額は同4.3%増(前月:同7.3%増)となり、それぞれ低下した。結果として、貿易収支は6.8億ドルの黒字となり、前月から19.3億ドル黒字が縮小した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同12.8%減(前月:同2.8%増)と低下し、2ヵ月ぶりのマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同0.9%減)が急速に鈍化したほか、PC(同21.9%減)やPC部品(同19.3%減)、ダイオード・トランジスタ(同35.5%減)が低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同12.0%減(前月:同0.8%増)と大きく低下した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品が同5.2%減(前月:同9.2%減)と低迷、医薬品が同28.0%減(前月:同5.8%増)とマイナスに転じた。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの18年12月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比12.3%減と、前月(同0.3%減)から低下した。輸出の伸び率は昨年前半の低迷後、年後半には小幅の増加傾向で推移していたが、足元では主力の電子製品を中心に急減している。また輸入額は前年同月比9.4%減(前月:同6.8%減)と低下した。結果として、貿易収支は37.5億ドルの赤字となり、前月から1.5億ドル赤字が縮小した(図表13)。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同15.2%減(前月:同1.8%減)と低下した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同18.4%減)が3ヵ月連続のマイナスとなったほか、電子データ処理機(同0.1%増)も鈍化した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。バナナ(同296.1%増)や加工食品・飲料(同61.8%増)、雑品(同27.6%増)、イグニッション・ワイヤーセット(同23.1%増)、金属部品(同14.5%増)、化学(同6.7%増)が増加する一方、機械・輸送用機器(同53.1%減)、ココナッツオイル(同24.8%減)、その他製造品(同9.0%減)が減少した。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

(2019年02月12日「経済・金融フラッシュ」)

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