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- 良好な環境が続くも、見通しはやや悲観的に~価格のピークは今年中が最多、米中関係に注視-第15回不動産市況アンケート結果
2019年02月08日
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アンケートの概要
株式会社ニッセイ基礎研究所では、不動産市況の現状および今後の方向性を把握すべく、2004年より不動産分野の実務家・専門家を対象に「不動産市況アンケート」を実施している。本アンケートは、今回で15回目となり114名から回答を得た。
アンケート回答者の属性(所属先内訳)は、「不動産ファンド運用・不動産投資顧問」(26.3%)が最も多く、次いで「その他不動産関連サービス(不動産調査・研究・出版、不動産に関する格付など)」(21.1%)、「不動産・建設・商社」(20.2%)、「金融・保険」(17.5%)、「不動産仲介・管理・鑑定」(14.9%)であった。回答者の属性に大きな偏りは見られなかったことから、本アンケートは不動産市況の実態に把握にあたり、属性による偏りを概ね排除していると考えられる。
- 調査対象;不動産・建設、商社、金融・保険、不動産仲介、不動産管理、不動産鑑定、
不動産ファンド運用、不動産投資顧問・コンサルタント、不動産調査・研究・出版、
不動産に関連する格付、などに携わる実務家および専門家。
- アンケート送付数;205名
- 回答者数;114名(回収率;55.6%)
- 調査時期;2019年1月28日から2月4日
- 調査方法;Eメールによる調査票の送付・回収
アンケート回答者の属性(所属先内訳)は、「不動産ファンド運用・不動産投資顧問」(26.3%)が最も多く、次いで「その他不動産関連サービス(不動産調査・研究・出版、不動産に関する格付など)」(21.1%)、「不動産・建設・商社」(20.2%)、「金融・保険」(17.5%)、「不動産仲介・管理・鑑定」(14.9%)であった。回答者の属性に大きな偏りは見られなかったことから、本アンケートは不動産市況の実態に把握にあたり、属性による偏りを概ね排除していると考えられる。
アンケートの結果
(2) 6ヵ月後の景況見通し
「不動産投資市場全体の6ヵ月後の景況見通し」について質問したところ、前回調査から引き続き「変わらない」との回答が約7割を占めた(図表-2)。ただし、悪化との回答(「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計)が増加した一方、好転との回答(「良くなる」と「やや良くなる」の合計)が減少したことで、「景況見通しDI」は-9.6%となった(図表-3)。現時点の好調な市況が更に良くなるとの見方が弱まったことで、「景況見通しDI」は前年調査のプラスからマイナスに転じた。
CBRE「四半期投資家調査」(2018年第3四半期調査)によれば、各投資セクターのNOI利回りは、過去最低水準まで低下している。著しく低い利回りによる取引も散見されるなか、一部の実務家・専門家は、投資市況がピークに達したと判断した模様である。
「不動産投資市場全体の6ヵ月後の景況見通し」について質問したところ、前回調査から引き続き「変わらない」との回答が約7割を占めた(図表-2)。ただし、悪化との回答(「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計)が増加した一方、好転との回答(「良くなる」と「やや良くなる」の合計)が減少したことで、「景況見通しDI」は-9.6%となった(図表-3)。現時点の好調な市況が更に良くなるとの見方が弱まったことで、「景況見通しDI」は前年調査のプラスからマイナスに転じた。
CBRE「四半期投資家調査」(2018年第3四半期調査)によれば、各投資セクターのNOI利回りは、過去最低水準まで低下している。著しく低い利回りによる取引も散見されるなか、一部の実務家・専門家は、投資市況がピークに達したと判断した模様である。
2.投資セクター選好
(1) 概況
「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター(証券化商品含む)」について質問したところ、「ホテル」(50.0%)との回答が最も多く、次いで「物流施設」(38.6%)、「オフィス」(36.0%)との回答が多かった(図表-4)。
「ホテル」との回答は5割を占め、価格上昇等が期待されるセクターの第1位となった。日本政府観光局によれば、2018年の年間訪日外国人数は3,119万人(前年比8.7%)となり、7年連続で増加した。旺盛な宿泊需要を背景に、東京五輪に向けて多くのホテル開発が進行しており、多くの実務家・専門家がホテル投資市場の拡大を期待している。
「物流施設」に関して、前回調査時点では、2018年から2019年にかけて過去最高水準の大量供給が予定され、大幅な需給緩和が懸念されていた。2018年は計画通りに多くの大規模施設が竣工したが、首都圏の空室率は4.8%(2018年第4四半期・CBRE調べ)と前年から低下した。賃料も緩やかに上昇していることから、実務家・専門家の期待が高まっていると考えられる。
また、「オフィスビル」との回答は、前回調査から増加し、4割弱を占めた。三鬼商事によれば、東京都心5区の空室率は1.88%となり、2002年1月(月次調査開始)以降で最低水準となった。逼迫した需給環境を反映し、平均賃料も60ヶ月連続で上昇している。好調な市況を受けてオフィス投資への期待は引き続き高い。
一方、「アウトレットモール」(1.8%)や「郊外型ショッピングセンター」(0%)、「分譲マンション」(0%)を期待する回答は下位に留まった。
(1) 概況
「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター(証券化商品含む)」について質問したところ、「ホテル」(50.0%)との回答が最も多く、次いで「物流施設」(38.6%)、「オフィス」(36.0%)との回答が多かった(図表-4)。
「ホテル」との回答は5割を占め、価格上昇等が期待されるセクターの第1位となった。日本政府観光局によれば、2018年の年間訪日外国人数は3,119万人(前年比8.7%)となり、7年連続で増加した。旺盛な宿泊需要を背景に、東京五輪に向けて多くのホテル開発が進行しており、多くの実務家・専門家がホテル投資市場の拡大を期待している。
「物流施設」に関して、前回調査時点では、2018年から2019年にかけて過去最高水準の大量供給が予定され、大幅な需給緩和が懸念されていた。2018年は計画通りに多くの大規模施設が竣工したが、首都圏の空室率は4.8%(2018年第4四半期・CBRE調べ)と前年から低下した。賃料も緩やかに上昇していることから、実務家・専門家の期待が高まっていると考えられる。
また、「オフィスビル」との回答は、前回調査から増加し、4割弱を占めた。三鬼商事によれば、東京都心5区の空室率は1.88%となり、2002年1月(月次調査開始)以降で最低水準となった。逼迫した需給環境を反映し、平均賃料も60ヶ月連続で上昇している。好調な市況を受けてオフィス投資への期待は引き続き高い。
一方、「アウトレットモール」(1.8%)や「郊外型ショッピングセンター」(0%)、「分譲マンション」(0%)を期待する回答は下位に留まった。
(2) 前回調査との比較 [期待が高まった(後退した)投資セクター]
前回調査から回答割合が10%以上増加した投資セクター(期待が高まった投資セクター)は、「ホテル」(前回37.2%→今回50.0%)であった(図表-5)。「ホテル」は、前述の通り、訪日外国人の増加に支えられた堅調な宿泊需要を鑑みて、ホテル投資市場の成長を期待する実務家・専門家は多いものと思われる。
一方、前回調査から回答割合が10%以上減少した投資セクター(期待が後退した投資セクター)は、「産業関係施設(メガソーラー、データセンターなど)」(前回28.3%→今回17.5%)であった(図表-5)。「産業関係施設」に含まれるメガソーラー(出力1メガワット以上の大規模太陽光発電)の施設数は増加しており普及が進んでいる。しかし、施設建設に伴う環境破壊や、買い取り価格の見直し等の規制強化、上場インフラ市場の低迷を受けて、実務家・専門家の期待がやや後退したものと思われる。
前回調査から回答割合が10%以上増加した投資セクター(期待が高まった投資セクター)は、「ホテル」(前回37.2%→今回50.0%)であった(図表-5)。「ホテル」は、前述の通り、訪日外国人の増加に支えられた堅調な宿泊需要を鑑みて、ホテル投資市場の成長を期待する実務家・専門家は多いものと思われる。
一方、前回調査から回答割合が10%以上減少した投資セクター(期待が後退した投資セクター)は、「産業関係施設(メガソーラー、データセンターなど)」(前回28.3%→今回17.5%)であった(図表-5)。「産業関係施設」に含まれるメガソーラー(出力1メガワット以上の大規模太陽光発電)の施設数は増加しており普及が進んでいる。しかし、施設建設に伴う環境破壊や、買い取り価格の見直し等の規制強化、上場インフラ市場の低迷を受けて、実務家・専門家の期待がやや後退したものと思われる。
(2019年02月08日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
経歴
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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