2018年12月25日

平成期の社会保障改革を振り返る-少子高齢化と財政悪化が進んだ30年間の変化を追う

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳

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■要旨

2018年も大晦日まで残り10日を切った。2019年(平成31年)5月には新元号に切り替わるため、平成で迎える最後の年の瀬になる。本レポートでは、1989年(平成元年)1月に始まった「平成」の30年を社会保障という切り口で振り返る。

具体的には、少子化の進展や高齢者人口の増加といった人口動態を振り返った上で、GDPの伸びを上回って年金、医療、介護などの社会保障費が増加したことを取り上げる。さらに、国の財政事情が悪化したことで社会保障制度の制約条件が増した点、その対策として消費税を社会保障に充てる考えが浮上した経緯や制度改正の動向、給付削減が図られた医療や年金における制度改正の経緯、高齢者福祉や子ども・子育て支援など新しい課題に対応した点などを考察する。その上で、こうした改革を進める際、首相官邸による主導性が強まった点なども振り返ることで、約30年間の変化を追う。

■目次

1――はじめに~平成という時代を社会保障で振り返る~
2――人口の変動
  1|高齢化率の上昇
  2|少子化の定着――「1.57ショック」で始まった平成
3――社会保障費の増加
4――財政状況の悪化
5――消費税の導入、引き上げと社会保障の関係
  1|「長寿・福祉社会の礎」と説明された消費税の導入
  2|参院選大敗の一因と見なされた消費税
  3|消費税の社会保障税化
  4|政局に翻弄された消費税
6――社会保障制度改革の動向
  1|医療分野における財政調整、自己負担の増加、在宅医療の充実
  2|給付抑制を目指した年金改革
  3|高齢者福祉における介護保険制度の創設
  4|子ども・子育て分野の充実
7――政策形成プロセスの変化
  1|官邸主導への変化
  2|諸刃の剣の側面を持つ官邸主導
8――おわりに~
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保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳 (みはら たかし)

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     1995年4月~ 時事通信社
     2011年4月~ 東京財団研究員
     2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
     2023年7月から現職

    【加入団体等】
    ・社会政策学会
    ・日本財政学会
    ・日本地方財政学会
    ・自治体学会
    ・日本ケアマネジメント学会

    【講演等】
    ・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
    ・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

    【主な著書・寄稿など】
    ・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
    ・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
    ・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
    ・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
    ・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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レポート紹介

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