2018年12月21日

中国経済:景気指標の総点検(2018年冬季号)~新たに開発した「景気インデックス」は6ヵ月連続低下し6.38%!

三尾 幸吉郎

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(図表-8)景気評価点の推移 【景気評価点はウォーニングを発信】
以上で概観した景気10指標を、それぞれ3ヵ月前と比べて上向きであれば“○”、下向きであれば“×”として一覧表にしたのが図表-9である。需要面をみると、小売売上高は3ヵ月連続で“×”となり減速傾向が鮮明、輸出も11月には“×”に転じた。一方、固定資産投資は3ヵ月連続で“○”となり持ち直してきている。供給面をみると、2ヵ月連続で“○”だった工業生産が11月に“×”に転じたのに加えて、製造業PMIは6ヵ月連続で“×”、非製造業PMIも5ヵ月連続で“×”となっており、供給面の悪化は顕著である。その他の景気指標(電力消費量、道路貨物輸送量、工業生産者出荷価格、通貨供給量)をみると、11月は4つが揃って“×”となった。まだ1ヵ月だけなので、12月には反動で“○”になる可能性があるものの、今後の動きを注視する必要があるだろう。
以上を“○=1点”、“×=0点”として集計したものを筆者は景気評価点と呼んでいる。評価に用いた景気指標は全部で10種あるので、景気が上向きか下向きかの分岐点は5点となる。その景気評価点が11月は1点となった(図表-8)。景気悪化のウォーニングを発信したといえるだろう。
(図表-9)景気評価総括表(○×表)

3.「景気インデックス」は6ヵ月連続低下し6.38%!

3.「景気インデックス」は6ヵ月連続低下し6.38%!

最後に、中国経済に関する「景気インデックス」を紹介したいと思う。かねがね読者の皆様からは、「中国経済の動向をひと目で分かるような指標は無いのか?」とのご質問を受けることが多かった。しかし、それに自信を持って紹介できるような指標はなかなか見出せなかった。そこで、そうしたご要望に少しでもお応えしようと微力ながらも開発したのが、この「景気インデックス」である。「景気インデックス」は、工業生産、サービス業生産、製造業PMIの3つを合成加工したもので、「月次の景気指標の動きを経済成長率に換算するとどの程度か」を表示する形式を採用している。

ちなみに、その推計結果と経済成長率の関係をみると(図表-10)、17年以降おおむね6%台後半で推移していた「景気インデックス」は、18年5月の6.83%を直近ピークとして低下し始め、9月には6.47%と18年の成長率目標である「6.5%」をやや下回り、その後も10月は6.41%、11月は6.38%と低下傾向が続いている。ご参考になれば幸いです。
(図表-10)景気インデックスと経済成長率
 
 

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三尾 幸吉郎

研究・専門分野

(2018年12月21日「Weekly エコノミスト・レター」)

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