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- 福岡オフィス市場の現況と見通し(2018年)
2018年04月02日
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4. 福岡オフィス市場のエリア別動向
2017年は全地区で空室率が低下した。2017年12月の空室率は、薬院・渡辺通地区で1.62%(前年比変化幅▲0.40%)、祇園・呉服町地区2.54%(同▲0.91%)、博多駅東・駅南地区2.61%(同▲2.34%)、天神地区3.32%(同▲1.08%)、博多駅前地区3.54%(同▲0.87%)、赤坂・大名地区4.72%(同▲1.81%)だった。相対的に空室率が高かった赤坂・大名地区と博多駅東・駅南地区で、空室率が大きく低下した(図表-10左図)。
募集賃料は、博多駅東・駅南地区(前年同期比+4.3%)を中心に全地区で上昇している(図表-10右図)。他の主要都市と比較して、福岡は賃料上昇がエリア全域にわたっているのが特徴的である。
募集賃料は、博多駅東・駅南地区(前年同期比+4.3%)を中心に全地区で上昇している(図表-10右図)。他の主要都市と比較して、福岡は賃料上昇がエリア全域にわたっているのが特徴的である。
5. 福岡オフィス市場における新規供給・人口見通し
今後の大規模ビルの供給は、2018年4月に博多駅前地区の紙与博多中央ビル、また天神ビッグバンの一環として2021年に天神ビジネスセンターが予定されている。これまでは航空法の高さ規制と容積率規制等の影響で中心部での建て替えが進まなかったが、天神ビッグバンの規制緩和により、2021年以降、天神地区の大規模ビルの建替えが進むことが期待される7(図表-13)。
国勢調査によると、福岡市の2015年の生産年齢人口(15~64歳人口)は99.6万人と、2010年から0.1万人の減少となった。これは、国立社会保障・人口問題研究所の予測(1.7万人減少)から上振れる結果であり、少子高齢化による生産年齢人口の減少は今のところ限定的だ(図表-14)。
国勢調査によると、福岡市の2015年の生産年齢人口(15~64歳人口)は99.6万人と、2010年から0.1万人の減少となった。これは、国立社会保障・人口問題研究所の予測(1.7万人減少)から上振れる結果であり、少子高齢化による生産年齢人口の減少は今のところ限定的だ(図表-14)。
7 その後のプロジェクトとしては、旧大名小学校跡地や福岡ビルの再開発が予定されている。旧大名小学校跡地については、福岡市が積水ハウスや西日本鉄道などのグループを同再開発事業者の優先交渉先として決定した。2018年9月に事業契約を締結し、2022年12月の全面開業を予定している(福岡市住宅都市局都心創生課「旧大名小学校跡地活用事業 優先交渉権者を決定しました!」(2018.3.27))。福岡ビルについては、西日本鉄道が2018年度中に基本設計に着手すると発表。天神コア、天神ビブレとの一体開発を目指し、6~7年後の竣工を予定している(日本経済新聞「西鉄、18年度中に設計 福岡ビルの再開発」(2018.2.23))。
8 他の主要都市では、札幌でも同様の傾向が見られる。
6. 福岡オフィス市場の賃料見通し
福岡における今後のオフィス供給や人口流入、経済予測などに基づくオフィス需給の見通しから、2024年までの福岡のオフィス賃料を予測した9。
福岡のオフィス賃料は需要の底堅さと、需要に対する供給の少なさから、当面、上昇が続くと予想される。標準シナリオによると、オフィス賃料は、2020年のピークまで2017年下期比+10.9%の上昇となる見込みだ。2021年には新規供給の影響などから賃料は反落し、2024年には2017年下期比▲2.1%まで下落する見込みである。楽観シナリオでは2020年の賃料のピークまでの上昇率は同+22.3%、2024年の賃料水準は同+11.6%となった。また悲観シナリオでは2019年の賃料のピークまでの上昇率は同+2.3%で、2024年の賃料水準は同▲16.0%となった(図表-17)。
東京都心部Aクラスビルの賃料は2018年後半から下落に転じると予想されたが10、福岡をはじめとした地方主要都市は2020年~2021年11まで上昇基調を維持する見込みだ。東京では2018年から大量供給が控えているのに対して、地方主要都市では新規供給が低水準で推移するためだ。福岡は2020年まで大規模ビルの供給が抑制され、タイトなオフィス需給の継続が予想される。2021年以降は、天神ビッグバンが本格化し、天神ビジネスセンターを皮切りに大規模ビルの新規供給が相次ぐ。そのため、賃料は下落に転じるが、堅調なオフィス需要は持続し、賃料の下落幅も小幅にとどまる。福岡のオフィス市場は、今後も総じて底堅く推移することが予想される。
福岡のオフィス賃料は需要の底堅さと、需要に対する供給の少なさから、当面、上昇が続くと予想される。標準シナリオによると、オフィス賃料は、2020年のピークまで2017年下期比+10.9%の上昇となる見込みだ。2021年には新規供給の影響などから賃料は反落し、2024年には2017年下期比▲2.1%まで下落する見込みである。楽観シナリオでは2020年の賃料のピークまでの上昇率は同+22.3%、2024年の賃料水準は同+11.6%となった。また悲観シナリオでは2019年の賃料のピークまでの上昇率は同+2.3%で、2024年の賃料水準は同▲16.0%となった(図表-17)。
東京都心部Aクラスビルの賃料は2018年後半から下落に転じると予想されたが10、福岡をはじめとした地方主要都市は2020年~2021年11まで上昇基調を維持する見込みだ。東京では2018年から大量供給が控えているのに対して、地方主要都市では新規供給が低水準で推移するためだ。福岡は2020年まで大規模ビルの供給が抑制され、タイトなオフィス需給の継続が予想される。2021年以降は、天神ビッグバンが本格化し、天神ビジネスセンターを皮切りに大規模ビルの新規供給が相次ぐ。そのため、賃料は下落に転じるが、堅調なオフィス需要は持続し、賃料の下落幅も小幅にとどまる。福岡のオフィス市場は、今後も総じて底堅く推移することが予想される。
9 経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2017~2027年度)」(2017.10.13)、斎藤太郎「2017~2019年度経済見通し-17年7-9月期GDP2次速報後改定」(2017.12.8)などを基に設定。
10 佐久間誠「東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2018年)-2018年~2024年のオフィス賃料・空室率」(2018.2.8)を参照。
11 佐久間誠「大阪オフィス市場の現況と見通し(2018年)」(2018.3.6)を参照。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
(2018年04月02日「不動産投資レポート」)
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竹内 一雅
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