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- 第1四半期のJリート市場は7期ぶりに国内株をアウトパフォーム~海外資金の流入が市場を下支え
コラム
2018年03月30日
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第1四半期の需給動向をみると、Jリートの主な買い手は海外投資家で、1月から2月にかけてJリートを656億円買越しました。一方で、海外投資家は今年に入り国内株式を約2.6兆円売越しています1。国内市場における海外マネーの影響力が強まるなか、「Jリート買い・国内株式売り」の投資行動がパフォーマンスの明暗を分けたと言えそうです。
ところで、海外投資家によるJリート買いの理由の1つに、日米金融政策の方向性の違いに伴うJリート市場の割安感が挙げられます。
米国では金融政策の正常化の一環として政策金利の引き上げが継続的に行われていますが2、日本では現在の金融緩和が当面維持される見通しです。この結果、米国リート市場とJリート市場のイールドスプレッド(対10年国債利回り)を比較してみると、米国の1.9%に対して日本は4.1%と高い水準を確保しています。さらに今後の日米短期金利差の拡大を勘案すると、為替ヘッジ考慮後のJリート利回りは上昇し海外からみた魅力度がより高まることになります。
ところで、海外投資家によるJリート買いの理由の1つに、日米金融政策の方向性の違いに伴うJリート市場の割安感が挙げられます。
米国では金融政策の正常化の一環として政策金利の引き上げが継続的に行われていますが2、日本では現在の金融緩和が当面維持される見通しです。この結果、米国リート市場とJリート市場のイールドスプレッド(対10年国債利回り)を比較してみると、米国の1.9%に対して日本は4.1%と高い水準を確保しています。さらに今後の日米短期金利差の拡大を勘案すると、為替ヘッジ考慮後のJリート利回りは上昇し海外からみた魅力度がより高まることになります。
2月以降、世界の株式市場は米国金利の上昇や米中の貿易摩擦問題、米国IT企業の先行き不安を背景に高値波乱の展開が続いています。もちろん株価の下落はJリート市場とってマイナスに働きますが、反面、収益の安定性や高い分配金利回り、リアルアセットの裏付けといったJリートのデフェンシブ性が注目される機会でもあります。これまでに蓄積した株式市場に対する相対的なパフォーマンスの劣後が今後縮小に向かうことを期待しています。
1 国内株式は2018年1月から3月第3週までの累計(東京・名古屋2市場、1部・2部・新興市場の現物株)
2 窪谷浩『【3月米FOMC】予想通り、政策金利を0.25%引き上げ。18年の年3回利上げ見通しは維持』ニッセイ基礎研究所、経済・金融フラッシュ、2018年3月22日
1 国内株式は2018年1月から3月第3週までの累計(東京・名古屋2市場、1部・2部・新興市場の現物株)
2 窪谷浩『【3月米FOMC】予想通り、政策金利を0.25%引き上げ。18年の年3回利上げ見通しは維持』ニッセイ基礎研究所、経済・金融フラッシュ、2018年3月22日
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年03月30日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
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