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- 資金循環統計(17年10-12月期)~個人金融資産は、前年比70兆円増の1880兆円に、3四半期連続で過去最高を更新
2018年03月19日
1.個人金融資産(17年12月末): 17年9月末比では35兆円増
2017年12月末の個人金融資産残高は、前年比70兆円増(3.9%増)の1880兆円となった1。残高はこれまでの最高であった昨年9月末の1845兆円を大幅に上回り、3四半期連続で過去最高を更新した。年間で資金の純流入が29兆円あったうえ、大幅な株価上昇によって、時価変動2の影響がプラス41兆円(うち株式等がプラス36兆円、投資信託がプラス8兆円)発生し、資産残高が大きく押し上げられた。投資信託の残高も過去最高の109兆円に達している。
四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(昨年9月末)比で35兆円の増加となった。例年10-12月期は一般的な賞与支給月を含むことからフローで流入超過となる傾向が強く、今回も16兆円の流入超過となった。さらに、市場では世界的な景気拡大などを受けて株価が大きく上昇(9月末20356円→12月末22764円)したため、時価変動の影響がプラス19兆円(うち株式等がプラス16兆円、投資信託が4兆円)発生し、資産残高の増加に寄与した(図表1~4)。
四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(昨年9月末)比で35兆円の増加となった。例年10-12月期は一般的な賞与支給月を含むことからフローで流入超過となる傾向が強く、今回も16兆円の流入超過となった。さらに、市場では世界的な景気拡大などを受けて株価が大きく上昇(9月末20356円→12月末22764円)したため、時価変動の影響がプラス19兆円(うち株式等がプラス16兆円、投資信託が4兆円)発生し、資産残高の増加に寄与した(図表1~4)。
なお、家計の金融資産は、既述のとおり10-12期に35兆円増加したが、この間の金融負債は2兆円の増加に留まったため、金融資産から負債を控除した純資産残高は33兆円増の1560兆円となった。こちらも9月末を上回り、過去最高を更新している(図表5)。
ちなみに、その後の1-3月期については、一般的な賞与支給月を含まないことから、例年フローで数兆円の流出超過となる傾向がある。さらに、株価が今のところ12月末から大幅に下落、円も上昇(外貨が下落)しているため、時価変動の影響が20兆円弱マイナスに寄与していると推測される。従って、現時点の個人金融資産残高は1850兆円余りに減少していると考えられる。
1 2017年7-9月期の数値は確報化に伴って改定されている。
2 統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
ちなみに、その後の1-3月期については、一般的な賞与支給月を含まないことから、例年フローで数兆円の流出超過となる傾向がある。さらに、株価が今のところ12月末から大幅に下落、円も上昇(外貨が下落)しているため、時価変動の影響が20兆円弱マイナスに寄与していると推測される。従って、現時点の個人金融資産残高は1850兆円余りに減少していると考えられる。
1 2017年7-9月期の数値は確報化に伴って改定されている。
2 統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
2.内訳の詳細:「貯蓄から投資へ」の流れは未だ部分的・限定的
リスク性資産に関しては、株高に伴う利益確定売りや年末を控えた節税売りにより、株式等が2.5兆円の流出超過となった一方、投資信託は1.1兆円の流入超過となった。それぞれ、流出入の規模は例年同期と大差ない状況。その他リスク性資産では、対外証券投資(0.4兆円の流入超過)、外貨預金(0.04兆円の流入超過)への小幅な資金流入が見られる。
以上のとおり、リスク性資産への投資はまちまちであり、増勢が強まっているとはいえない。引き続き、一定の元本保証がある流動性預金に資金が滞留しており、「貯蓄から投資へ」の流れは未だ部分的・限定的に留まっている。
なお、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は353兆円と9月末から18兆円増加し、その個人金融資産に占める割合は18.78%と2007年6月末(18.81%)以来の高水準となった。ただし、株価上昇等による保有資産の時価上昇が残高押し上げに寄与した面が大きい。時価上昇によって金融資産に占めるリスク性資産の割合が高まっていることも、リスクテイクをそれほど好まない家計におけるリスク性資産への投資を抑制している可能性がある。
その他証券では、国債が4四半期ぶりに流入超過となった点が目立つ。個人向け国債には最低金利保証(0.05%)が付いており、預金に比べた投資妙味が高まっているため、従来よりも選好されているとみられる(図表6~9)。
以上のとおり、リスク性資産への投資はまちまちであり、増勢が強まっているとはいえない。引き続き、一定の元本保証がある流動性預金に資金が滞留しており、「貯蓄から投資へ」の流れは未だ部分的・限定的に留まっている。
なお、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は353兆円と9月末から18兆円増加し、その個人金融資産に占める割合は18.78%と2007年6月末(18.81%)以来の高水準となった。ただし、株価上昇等による保有資産の時価上昇が残高押し上げに寄与した面が大きい。時価上昇によって金融資産に占めるリスク性資産の割合が高まっていることも、リスクテイクをそれほど好まない家計におけるリスク性資産への投資を抑制している可能性がある。
その他証券では、国債が4四半期ぶりに流入超過となった点が目立つ。個人向け国債には最低金利保証(0.05%)が付いており、預金に比べた投資妙味が高まっているため、従来よりも選好されているとみられる(図表6~9)。
(2018年03月19日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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