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医療・ヘルスケア
2018年03月01日
1―医療保険制度1とは
1|医療保険制度とは
医療保険制度とは、皆さんが病気やケガ等で病院や診療所等の医療機関で治療を受けた場合に、その費用の全額又は一部を保険者2が負担してくれる制度です。この制度があるために、我々が万が一の時に、病院や診療所等で通常は安い自己負担で必要な治療を受けることができることになっています。ただし、こうした給付を受けるためには、相互扶助の精神の下に、制度の加入者は必要な保険料を負担しなければなりません。
1 「医療制度・ヘルスケア早分かり」では、「医療保険制度」といった場合、特に断わりのない限り、日本における公的な医療保険制度のことを指し、そのうちの健康保険法が定める企業の従業員等を対象にした被用者保険について、「健康保険」と呼ぶこととしています。
2 保険者とは、医療保険制度の運営者として、医療保険事業を自己の事業として行い、自己の計算において保険料を徴収して、保険給付を行い、その他事業に付随する業務を行うものをいいます。
1|医療保険制度とは
医療保険制度とは、皆さんが病気やケガ等で病院や診療所等の医療機関で治療を受けた場合に、その費用の全額又は一部を保険者2が負担してくれる制度です。この制度があるために、我々が万が一の時に、病院や診療所等で通常は安い自己負担で必要な治療を受けることができることになっています。ただし、こうした給付を受けるためには、相互扶助の精神の下に、制度の加入者は必要な保険料を負担しなければなりません。
1 「医療制度・ヘルスケア早分かり」では、「医療保険制度」といった場合、特に断わりのない限り、日本における公的な医療保険制度のことを指し、そのうちの健康保険法が定める企業の従業員等を対象にした被用者保険について、「健康保険」と呼ぶこととしています。
2 保険者とは、医療保険制度の運営者として、医療保険事業を自己の事業として行い、自己の計算において保険料を徴収して、保険給付を行い、その他事業に付随する業務を行うものをいいます。
2|医療保険制度は大きくは2本立てで構成されている
日本の医療保険制度は、大きくは「被用者保険」と「地域保険」という2本立てて構成されています。ただし、2本立てとはいっても、歴史的な経緯もあり、10の保険制度、3000を超える保険者から構成され、多数の制度や保険者が存在する複雑な制度となっています。
また、「国民皆保険」ということで、国民の誰もが、いつでも、またどこでも、必要な時に必要な治療を受けることができる制度となっています。
日本の医療保険制度は、大きくは「被用者保険」と「地域保険」という2本立てて構成されています。ただし、2本立てとはいっても、歴史的な経緯もあり、10の保険制度、3000を超える保険者から構成され、多数の制度や保険者が存在する複雑な制度となっています。
また、「国民皆保険」ということで、国民の誰もが、いつでも、またどこでも、必要な時に必要な治療を受けることができる制度となっています。
3|医療保険制度は、民間医療保険とは異なる特徴を有している
医療保険制度は、社会保険の1つを構成しています。社会保険は、民間の保険会社等が提供している保険とは異なり、基本的には以下の特徴を有しています。
(1) 任意加入ではなく、強制加入である。
(2) 加入資格がある人は、その人がどのような健康状態にあっても、加入が認められる。即ち、保険者は、危険選択ができない。
(3) 加入者の性・年齢・健康状態等のリスクの状況に関わらずに平均保険料を適用する。
(4) 給付内容は画一(法定給付)
(5) 財源には、加入者の支払う保険料だけでなく、税金を財源とする公費が使用される。
医療保険制度は、社会保険の1つを構成しています。社会保険は、民間の保険会社等が提供している保険とは異なり、基本的には以下の特徴を有しています。
(1) 任意加入ではなく、強制加入である。
(2) 加入資格がある人は、その人がどのような健康状態にあっても、加入が認められる。即ち、保険者は、危険選択ができない。
(3) 加入者の性・年齢・健康状態等のリスクの状況に関わらずに平均保険料を適用する。
(4) 給付内容は画一(法定給付)
(5) 財源には、加入者の支払う保険料だけでなく、税金を財源とする公費が使用される。
2―医療保険制度への加入義務はどうなっているのか
1|国民全員に対して加入義務がある
「国民皆保険」ということで、生活保護の受給者などの一部を除く日本国内に住所を有する全国民、および1年以上の在留資格がある日本の外国人は何らかの形で公的な医療保険制度に加入することが義務付けられています。生活保護者については、医療扶助制度から、原則として現物支給(投薬、処置、手術、入院等の直接給付)が行われる形になっています3。
3 加入義務を課すことで、保険料負担義務が発生することになりますが、保険料負担能力のない人に対しては、例えば、生活保護者の場合のように、保険制度の枠から外して医療扶助という別の公助の枠組みで対応したり、さらには医療保険制度という共助の枠組みの中で保険料を減免したりすることで対応しています。
1|国民全員に対して加入義務がある
「国民皆保険」ということで、生活保護の受給者などの一部を除く日本国内に住所を有する全国民、および1年以上の在留資格がある日本の外国人は何らかの形で公的な医療保険制度に加入することが義務付けられています。生活保護者については、医療扶助制度から、原則として現物支給(投薬、処置、手術、入院等の直接給付)が行われる形になっています3。
3 加入義務を課すことで、保険料負担義務が発生することになりますが、保険料負担能力のない人に対しては、例えば、生活保護者の場合のように、保険制度の枠から外して医療扶助という別の公助の枠組みで対応したり、さらには医療保険制度という共助の枠組みの中で保険料を減免したりすることで対応しています。
2|それでは国民はどの医療保険制度に加入したらよいのか
これについては、法令に定められており、年齢・職業・扶養関係を要件にして、どの医療保険制度が適用され、どの保険者に属するのかが決定されます。一旦、本人の選択等により、職業や扶養関係が定まれば、本人の意思に関係なく、当該本人が加入する医療保険制度や保険者が決定されることになります4。
具体的には、基本的には以下のルールに従って、本人が加入すべき医療保険制度及び保険者が決定されます。
1.75歳未満の被用者及びその扶養者は、その使用される事業者に適用される被用者保険に加入する。
2.被用者保険の中で、大企業等の健康保険組合がある適用事業所に使用される者は当該健康保険組合に加入し、公務員、私立学校教職員、船員はそれぞれに適用される共済組合又は船員保険に加入し、それ以外の被用者は協会けんぽに加入する。
3.75歳以上の者は、居住している都道府県広域連合の後期高齢者医療制度に加入する5。
4.以上の各制度の対象にならない者は居住している市区町村の国民健康保険又は国民健康保険組合の国民健康保険に加入する。
4 ただし、被用者保険における任意継続被保険者制度及び国民健康保険組合への加入については、本人の選択権があります。
5 後期高齢者医療広域連合が認定した65歳以上の障害者も対象となります。
これについては、法令に定められており、年齢・職業・扶養関係を要件にして、どの医療保険制度が適用され、どの保険者に属するのかが決定されます。一旦、本人の選択等により、職業や扶養関係が定まれば、本人の意思に関係なく、当該本人が加入する医療保険制度や保険者が決定されることになります4。
具体的には、基本的には以下のルールに従って、本人が加入すべき医療保険制度及び保険者が決定されます。
1.75歳未満の被用者及びその扶養者は、その使用される事業者に適用される被用者保険に加入する。
2.被用者保険の中で、大企業等の健康保険組合がある適用事業所に使用される者は当該健康保険組合に加入し、公務員、私立学校教職員、船員はそれぞれに適用される共済組合又は船員保険に加入し、それ以外の被用者は協会けんぽに加入する。
3.75歳以上の者は、居住している都道府県広域連合の後期高齢者医療制度に加入する5。
4.以上の各制度の対象にならない者は居住している市区町村の国民健康保険又は国民健康保険組合の国民健康保険に加入する。
4 ただし、被用者保険における任意継続被保険者制度及び国民健康保険組合への加入については、本人の選択権があります。
5 後期高齢者医療広域連合が認定した65歳以上の障害者も対象となります。
3|加入義務があるのは何故か
それでは、なぜ1-3(1)で述べたように、強制加入ということで、国民に対する加入義務があるのでしょうか。
もちろん、「国民皆保険」制度ということで、国民の誰もが、いつでも、またどこでも、必要な時に必要な治療を受けることができるように、無保険者がいない状況を作り出すためには、国民全員が何らかの医療保険制度に加入することを義務付けることが望まれるということがあります。ただし、一方で、1-3で述べた公的な医療保険制度の特徴の②に大きく関係しています。
もし加入資格のある人に加入の選択権を与えてしまうと、健康状態の良くない人は加入インセンティブが高いが、健康状態が良い人は加入インセンティブが働かないという、いわゆる加入者による「逆選択」が働く状況になってしまいます。さらには、健康状態が悪くなった時にだけ、加入するということもできることになってしまいます。こうしたことでは、医療保険制度を健全に運営することができなくなってしまいます。
従って、健康状態等に関わらず全員が加入することを認めるかわりに、健康状態等に関わらず全員に加入を義務付ける制度となっています。
現在健康な人もいつ何時、思わぬ事故や病気で医療機関にお世話になることも考えられます。こうした万が一の時に備えるためにも、国民全員が何らかの医療保険制度に加入しておくことを義務付けておくことが大変重要なことであると考えられます。
なお、全ての加入対象者に加入義務を課すことで、加入に伴う選択を行う必要がなくなり、また加入者数の増加も図られることから、スケールメリットが働き、事務コスト負担の軽減が図られるというメリットも期待できることになります。
それでは、なぜ1-3(1)で述べたように、強制加入ということで、国民に対する加入義務があるのでしょうか。
もちろん、「国民皆保険」制度ということで、国民の誰もが、いつでも、またどこでも、必要な時に必要な治療を受けることができるように、無保険者がいない状況を作り出すためには、国民全員が何らかの医療保険制度に加入することを義務付けることが望まれるということがあります。ただし、一方で、1-3で述べた公的な医療保険制度の特徴の②に大きく関係しています。
もし加入資格のある人に加入の選択権を与えてしまうと、健康状態の良くない人は加入インセンティブが高いが、健康状態が良い人は加入インセンティブが働かないという、いわゆる加入者による「逆選択」が働く状況になってしまいます。さらには、健康状態が悪くなった時にだけ、加入するということもできることになってしまいます。こうしたことでは、医療保険制度を健全に運営することができなくなってしまいます。
従って、健康状態等に関わらず全員が加入することを認めるかわりに、健康状態等に関わらず全員に加入を義務付ける制度となっています。
現在健康な人もいつ何時、思わぬ事故や病気で医療機関にお世話になることも考えられます。こうした万が一の時に備えるためにも、国民全員が何らかの医療保険制度に加入しておくことを義務付けておくことが大変重要なことであると考えられます。
なお、全ての加入対象者に加入義務を課すことで、加入に伴う選択を行う必要がなくなり、また加入者数の増加も図られることから、スケールメリットが働き、事務コスト負担の軽減が図られるというメリットも期待できることになります。
(2018年03月01日「基礎研レター」)
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中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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