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中国経済見通し~マクロプルーデンス政策の強化で「安定成長」へ軟着陸、リスクの所在は住宅バブル崩壊
三尾 幸吉郎
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4.輸出の動向
5.金融の動向
その中身を詳細に見ると、シャドーバンキング(影子银行)、不動産金融、ネット金融、債券デフォルト処理メカニズム整備を挙げるなどマクロプルーデンス政策(宏观审慎政策)による「金融リスクの確実な防止・解消」に力点が置かれており、2018年はその金融引き締め効果が景気を冷やす要因となるだろう。また、金利・為替レートの市場化や人民元国際化など金融改革の推進も強調している。しかし、金融改革を急いで進めれば、金利・為替レート・株価が不安定化する恐れがあり、習経済学(シーコノミクス)が最重視する「安定」を損なうことにもなりかねない。従って、2018年の金融改革のスピードは緩やかなものに留まる可能性が高いと見ている。
6.中国経済の見通し
リスクは“住宅バブル”にあると考えている。住宅バブルが崩壊すれば、金融システムが不安定化する恐れがあるからだ。そもそも中国では、過剰設備・過剰債務問題を解消すべくゾンビ企業の淘汰を進めており、不良債権は増加しやすい2。それに加えて、ここもと急増した住宅ローンの返済が滞るようだと、銀行の不良債権は急増しかねない(図表-10)。中国の住宅価格は長らく右肩上がりを続けており、一時的に調整しても再び最高値を更新してきたため、一般庶民が取得できない水準まで上昇してしまった3。図表-11に示したニッセイ基礎研究所の試算を見ると、全国平均では平均賃金の7.6倍(北京は約17倍)となっており、4-6倍が適正とされることを勘案すれば下落余地は大きい。折しも中国政府はマクロプルーデンス政策による「金融リスクの確実な防止・解消」に動き出した。住宅バブルを崩壊させず上手くコントロールできるか、中国政府の手腕が試される。
2 不良債権に関しては「図表でみる中国経済(不良債権編)」基礎研レター2016-07-15を参照
3 「図表でみる中国経済(住宅市場編)~住宅バブルの現状と注目点」基礎研レター2016-11-1、「図表でみる中国経済(人口問題編)~「人口ボーナス」から「人口オーナス」へ、バブル崩壊の遠因になる恐れも」保険・年金フォーカス 2017-05-30を参照
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(2018年02月21日「Weekly エコノミスト・レター」)
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